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「いま、会いにゆきます」 2004

いま、会いにゆきます

★★★★☆

 

あらすじ

 男手一つで幼い息子を育てていた男の前に、生前約束していた通りに死んだ妻が現れる。

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 中村獅童、竹内結子ら出演。岡田惠和脚本、土井裕泰監督。119分。

 

感想

 取り残された男と息子の前に、死んだ妻が現れる物語だ。本人が生前に予言していた通り、雨の日に突然妻が姿を見せる。

 

 だが、何が起きたのかは明らかにされない。それについての若干の苛立ちはあるが、山の上の森の中という浮世離れした場所にある家、心身の不調でまともな日常生活を送れない主人公の覚束なさや妙に優しい口調など、どこか非現実的なファンタジー感が漂っており、一定の説得力はある。何度も登場するトンネルも異世界との接続をイメージさせる。

 

 

 宣言した通りに戻ってきた妻だが、全然主人公や息子のことを覚えていない。主人公は妻とのなれそめを語ることで、彼女の記憶を呼び覚まそうとする。まるで二人が恋愛をやり直すように、過去に起きたことをなぞり、再現していく。

 

 そして二人は生前のような関係を取り戻す。だが、これまた彼女が宣言していたように、梅雨の終わりと共に姿を消してしまう。ここからは、彼女の遺した日記によって、彼女の視点から見た二人の過去が明らかにされていく。主人公の見ていた景色と彼女の見ていた景色が、良い意味で違っていたことに驚き、心動かされる。

 

 そしてここで彼女が死後に再び現れた理由も判明する。ふんわりとただ蘇らせたのではなく、巧妙な設定が仕込まれていた。戻ってきた妻に記憶がないことや、二人が付き合い始めることになる再会シーンで妙に彼女が自信満々だったことなど、ひっかかりを覚えていた出来事にちゃんとした理由があったことが分かり、スッキリする心地よさがある。

 

 厳密に言えば、妻が主人公のことを知らないのは不自然だし、主人公も20歳と28歳の妻の年齢の違いに気付かないのも変だ。ただ多少のことには目をつぶりたくなる見事な構成になっている。恋愛をやり直してみせることで、何度出会っても二人は結ばれる運命にあることを予感させるのも巧い。

 

 しずかちゃんと結婚する未来を確認して安心するのび太と似たような話かもしれない。どこか「夏への扉」を思い出させるような、爽やかな余韻に浸れる恋愛映画だ。ひまわり畑や夜祭のシーンなど、映像的な醍醐味もある。

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スタッフ/キャスト

監督 土井裕泰

 

脚本 岡田惠和

 

原作 いま、会いにゆきます (小学館文庫)

 

出演 竹内結子/中村獅童/武井証/浅利陽介/平岡祐太/田中圭/市川実日子/YOU/松尾スズキ/小日向文世/中村嘉葎雄

 

音楽 松谷卓

 

いま、会いにゆきます - Wikipedia

 

 

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