★★☆☆☆
あらすじ
オリンピックも狙える水泳選手だった兄を失った弟は、残された両親らと共にぎこちない日々を送るようになる。
シガニー・ウィーバー、ミシェル・ウィリアムズ、ジェフ・ダニエルズら出演。112分。
感想
オリンピック出場を期待されていた長男が自殺してしまった家族の物語だ。悲しみに暮れながらも皆どこか淡々としており、寄り添い合うような様子はない。家族の心がバラバラであることを窺わせる。
序盤はそんなどこか奇妙な家族の関係がユーモアを交えつつ描かれていく。しかし、気の利いたシーンにしようとして失敗している印象だ。面白さよりも狙っているあざとさを感じてしまう。しかもそのせいでストーリーも分かりづらいものになっている。
以前から家族には何らかの問題があり、それが兄の自殺でより浮き彫りになっているらしいことがなんとなく分かってくる。しかしいくら物語が進行しても、一向にエピソードが積み重なっていかず、核心にも迫っていかない。いつまで経ってもその周辺をうろうろしているだけに見える。次第に「これ、いつまでやるの?」と飽きてきてしまった。それぞれのシーンがたいして面白くないだけになおさらだ。
映画の終了間際になって、ようやく家族が抱えていた数々の問題が明らかになる。それに伴い、それぞれの感情も溢れ出す。だが時すでに遅しで、彼らに共感するよりも、隠していたのはそれだったのね、と冷静に処理するだけだった。
そもそも輝かしい未来が待ってるはずの長男が自殺するのだから、裏があるのは容易に想像できる。真相を明かすのが遅すぎた。飽き飽きしているところで言われても、感情は微塵も動かされない。
つまらないエピソードを重ねることに力を注いで物語を前進させることを怠り、起承転結のタイミングも逃してしまった映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ダン・ハリス
出演 シガニー・ウィーバー/エミール・ハーシュ/ミシェル・ウィリアムズ/キップ・パルデュー/ジェフ・ダニエルズ
