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「87分の1の人生」 2023

87分の1の人生

★★★☆☆

 

あらすじ

 結婚式を間近に控えた女は、婚約者の姉夫婦を乗せて運転中に事故に遭い、二人を死なせてしまう。

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 邦題のタイトルは鉄道模型の規格HOゲージ(1/87)から。原題は「A Good Person」。128分。

 

感想

 婚約者の姉夫婦を事故で死なせてしまった女性が主人公だ。幸せの絶頂で不幸のどん底に突き落とされる痛ましい事故を起こしてしまった。主人公はショックで婚約者と会うことが出来ずに別れ、治療のために処方されていた鎮静剤の依存症になってしまう。幸せな未来も婚約者も失い、罪悪感に苛まれながら生きるのは辛い。駄目だと分かっていながら何かにすがろうとしてしまった彼女の気持ちは分からなくはない。

 

 どん底にいた彼女は、たまたま再会した元婚約者の父親に励まされながら、依存症からの更生を図るようになる。この父親にとって主人公は息子の元婚約者ではあるが、自分の娘夫婦を死なせた相手でもあり、孫娘の両親を奪った相手でもある。あまり顔を合わせたくない相手のはずなのに、それでも彼女をサポートしようとするのは人として素晴らしい。やがて孫娘も主人公と接するようになる。

 

 

 この父親にも抱えている問題があり、孫娘にも悩みがある。手を差し伸べられた主人公にとってもありがたい半面、死なせてしまった相手家族と対峙する心理的負担がある。三者が時には本心を吐露しながら交流し、やがてそれぞれが問題を乗り越え、再生していくハートウォーミングな物語となっている。

 

 だが、それぞれのエピソードがぼんやりとしていてキレがなく、アクセントとなるはずのコミカルなシーンもうまくハマっていない。結果として、この内容でなんで2時間10分もあるの?と思ってしまうような映画となってしまっている。

 

 これは主人公の更生が、思ったようには進まなかった停滞感も影響を与えているだろう。だが依存症治療とはそんなものだ。順調に更生できてしまうのなら、そもそも中毒になんてならない。ある意味で、一進一退を繰り返す依存症治療の経過を表現しているようなストーリー展開だったと言えるのかもしれない。ダラダラとしてパッとしない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ザック・ブラフ

 

出演 フローレンス・ピュー

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モリー・シャノン/チナザ・ウチェ/セレステ・オコナー

 

87分の1の人生

87分の1の人生

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