「ザ・コンサルタント」　2016

★★★★☆

あらすじ

　様々な犯罪組織の会計業務を請け負う天才的な会計士は、当局の目を逸らすために表の仕事を引き受けるが、何者かに命を狙われるようになる。

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　原題は「The Accountant」。128分。

感想

　天才的な能力を持つ会計士が主人公だ。自閉症で、子どもの頃は大変そうだったのにこんなに立派になって…と、まだ詳しく彼のことを知らない序盤の段階で、すっかり感心してしまった。現在の主人公が巻き込まれた事件を描きつつ、時おりの過去の回想を織り交ぜて、自閉症の少年がどのように今の姿になったのかも同時に明らかにしていく展開だ。

　主人公は会計士の能力だけでなく、軍人だった父親の指導によって高い戦闘能力も身につけている。会計士の才能だけで十分魅力的なのにと思ってしまったが、よく考えるとギャング映画などに出てくる会計士は大事な情報を握っているので捜査当局に狙われがちで、そのために口封じで殺されがちだ。それに対抗するための戦闘能力なのだなと納得した。

　よく見るのに軽く扱われている会計士に戦闘能力を持たせて主人公にしたことが、この映画の特色だと言えるだろう。いいところに目を付けた。

　天才的な才能を見せ、敵を圧倒する力もあるのに対人関係はぎこちなく、孤独を感じさせる主人公は、異能の人でヒーロー感がすごいある。彼が助けてしまった女性との関係に戸惑いつつ、的確な言動で敵に迫っていく過程は見ごたえがあった。ほどよいタイミングで主人公の過去が明らかになっていく回想が入るのも効果的だった。彼のタフな半生にもグッと来た。

　過去と現在が次々につながっていき、最後に、そういえばあいつはどうなったのだろう？と疑問が浮かんだところでクライマックスとなり、驚きの事実が明らかとなる。上手い構成だ。

　主人公の会計の話がなんかすごいのは分かるのだが具体的にはよく分からない感じや、彼が捜査関係者に密告しているのは何故なのか、その関係者がなぜ急に彼の正体を探り始めたのか等、モヤッとするところはいくつかある。もっと面白くなりそうな雰囲気もあったが、普通に楽しめる。

　すでに続編が決まっているが、主人公のキャラが強いのでシリーズ化したくなるのもよく分かる。第一作目の出来がこれくらいの方が、案外化けるような気もする。人気シリーズとなるかもしれない。

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