★★★★☆
あらすじ
ロンドンを裏で牛耳る男に金を借りて一儲けを企むも、逆に騙されてピンチに陥ってしまった男。そこにある女から金儲けの話が持ち込まれる。
感想
冒頭から勢いよく話が転がっていく。小気味いいのだが、少しでも気を抜くと置いていかれそうで、集中していないといけない息苦しさを感じないでもない。ただ、そこを乗り越えられれば状況を理解できて、その後は少し楽になる。
借金を背負わされた主人公たちが、持ち込まれた金儲けの話に飛びついたことから、一連の騒動が始まる。この事の発端となった儲け話を持ち込んだ女会計士が一番良く分からない存在だ。
彼女は、ロンドンに乗り込んできたロシアの富豪の元で仕事をしているのだから、かなりの収入は得ているはずだ。それなのにその雇い主がロンドンの顔役に渡すはずの大金を盗もうとしているわけで、単なるスリルを求める一番ヤバい奴と言える。しかも、一回ならず二回も盗もうとするのだからもう完全にクレイジーだ。この映画では本当のロックンローラが登場するが、ある意味で彼女もまたロックンローラだろう。
さらにはロシアの富豪が貸してきたお気に入りの絵画を、ロンドンの裏社会の顔役が盗まれたことにより、どんどんと事態はこんがらがっていく。ロシアの富豪も裏社会の顔役もどちらも少しヤバい立場に追いやって、焦らざるを得ない状況に立たせる設定が上手い。おかげで二人は強引にもなるし、多少おかしなこともやってしまう。
そんなことなどつゆ知らないが、いつの間にか二人の争いに巻き込まれてしまっていた主人公たち。良く分からないままにロシア人と戦ったりするわけだが、登場するロシア人たちが勝手に想像しているロシア人の悪者のイメージそのままで面白かった。めちゃくちゃ強いというわけではないが、とにかく不死身で執拗だ。全然あきらめない。そして、残虐で変態。ステレオタイプそのもので笑ってしまった。
さらにゲイをネタにした小話も挿入されるが、こういう男同士の熱い友情だの仁義だのを描いて突き詰めていくと、結局、愛情も男だけで間に合わせたくなるものなのかもしれない。男だけの集団は実際はどうあれ、はたから見れば多分にそういう要素はあるように見える。
それから特に意味のない主人公と女会計士のノリノリのダンスシーンも良かった。少し「パルプ・フィクション」的ではあるが、単純に楽しそうに踊る人たちを見るのは楽しい。エンタメ感がある。
最後は諸々の小さなストーリーがすべて一つにつながっていく心地よさがあった。初期のガイ・リッチー監督作品のスタイルと同じで個人的には好き。こんな感じの作品を作り続けて欲しいのだが、このタイプの作品はいくらでも作れてしまうので、別のスタイルに挑戦したくなるのかもしれない。
予想も出来るし長くなってしまうが、紅一点の女会計士の末路も見たかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ガイ・リッチー
出演 ジェラルド・バトラー/トム・ウィルキンソン/タンディ・ニュートン/マーク・ストロング/イドリス・エルバ/トム・ハーディ/トビー・ケベル/ジェレミー・ピヴェン/クリス・"リュダクリス"・ブリッジス/ジェマ・アータートン/ジェイミー・キャンベル・バウアー/カレル・ローデン
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