★★★☆☆
あらすじ
週末の昼下がり。夫と子供に囲まれマイホームで幸せに暮らす主婦に次々とトラブルが襲いかかる。104分。
感想
幸せな主婦が次々と事件に巻き込まれていく物語だ。主人公の主婦だけでなく、その家族や近所など周囲でもトラブルが続発し、なんでもなかった週末がカオスと化していく。
冒頭で、まずは家族のありふれた日常が描かれる。だがその中で、主人公の幼い子供が公園の砂場で犬を生き埋めにして無邪気に遊んでいたシーンは、なかなかの狂気を感じさせた。こんな風に人々の中に潜んでいた狂気や闇が次々と表面化していくことで、日常が非日常へと変わっていく。
ただそうやって描かれる各シークエンスが、突飛なことをやっておけばいい、みたいな安易さを感じさせるもので、しっかりと笑える瞬間が用意されているわけでも見せ場があるわけでもなく、締まりがない。特に半裸の女が暴れるシーンなどはメインのストーリーとの関連性もよく分からず、単に騒々しいだけだった。
前半はそんなエピソードがだらだらと続くだけだ。もう少し緩急をつけて、メリハリを出して欲しかった。
だが中盤まで進み、トラブル続きでおかしくなった主人公が見る白昼夢の映像は、シュールさに溢れていて、浮遊感があって良かった。謎のバンド(ジューシィ・フルーツ)が登場して歌い出すなどする。
そしてただドタバタするだけで取っ散らかっていた内容も、主な舞台が家の中に移ってからは焦点が明確となった。整理されたことでカオスの純度が上がった感があり、面白くなってきた。ただのカオスはつまらないが、計算されたカオスの不条理劇は面白いということなのだろう。
主人公と友人たち、そして押し込み強盗の男が加わったエログロナンセンスの饗宴は、悪夢感を増していく。家のあちこちで立て続けに人が死ぬクライマックスは見ごたえがあった。一気に宴は終焉となったが、夢から覚める時の感覚と似ているような気がした。
そして、後を引く余韻が残るエンディングも良い。悪夢から目覚めたはずなのに、また悪夢が始まりそうだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 中村幻児
原作 「ウィークエンド・シャッフル」
*所収
出演 秋吉久美子/泉谷しげる/池波志乃/美保純/渡辺えり子/秋川リサ/新井康弘/伊武雅刀/野上正義/芦川誠/春風亭小朝
音楽 山下洋輔
ウィークエンド・シャッフル (小説) - Wikipedia
