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「リトル・シングス」 2021

リトル・シングス(吹替版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 所用で古巣に立ち寄った元刑事の保安官は、かつて関わった未解決事件に関連しているらしい事件が起きていることを知る。

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 原題は「The Little Things」。128分。

 

感想

 元刑事で今は保安官の主人公が、若い刑事と共に猟奇殺人事件を捜査する物語だ。だが最初は若い刑事の主人公に対する態度がよく分からなかった。敵意を持っているようにも、小馬鹿にして挑発しているようにも見えた。

 

 その後、二人は協力し合うようになるが、若い刑事が主人公に頼り切ってつきまとい、どう思う?どうする?と聞いてばかりなのが気になった。まるで主人公を利用しているかのようだ。お前の担当なのだから自力で頑張れよと言いたくなる。捜査のメインはあくまでも彼で、本来無関係な主人公はあくまでもアドバイザー的なポジションに据えた方がしっくり来たような気がする。

 

 

 やがて捜査は犯人らしき人物にたどり着く。だがこのたどり着き方にあまり納得感はなかった。たまたまが重なってたどり着いた感じで、実際の捜査ならそれでも全然構わないが、物語としては説得力がない。犯人につながる線があまりにも細すぎた。

 

 いかにも怪しげな容疑者だったが確たる証拠は見つからず、ここで捜査は行き詰まる。警察を弄ぶような人を食った言動を見せるジャレッド・レト演じる容疑者は強烈な印象を残し、主人公らとの対決に期待が高まったが、思わぬ方向に物語が進んでしまった。

 

 事件の行方の代わりにクローズアップされてくるのは、何やらいわくありげな過去があるらしい主人公が、若い刑事に語りかける捜査に対する姿勢についてだ。要は、のめり込み過ぎるなと言うことなのだろう。確かに張り切り過ぎると一線を越えてしまうこともあり、それなら主人公のかつての同僚たちみたいにほどほどに頑張るくらいでいい、というのは一つの処世術ではある。

 

 だが犯人や被害者など事件に向いていたベクトルが、急に主人公らの方に向けられて、彼らがまるで保身に走っているかのように見えて冷めてしまった。教師を聖職者として勝手に崇め奉らないでくれ、みたいなもので、確かにその通りなのだが、やることはちゃんとやって欲しいものだ。そして、これを描きたかったから捜査の描き方はおざなりだったのか、とも思ってしまった。

 

 どうしても映画「セブン」を思い起こしてしまう事件の結末は、容疑者の狙い通りだったのか、別の目的があったのか、実際のところがよく分からない。それにこれと、明らかになった主人公の過去の過ちは同種ではないような気がして、モヤモヤしてしまった。

セブン (字幕版)

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 事件の後始末で、主人公が若い刑事に取った思いやりのある行動が明らかになる最後のシーンはなかなか良かった。エンディングは良いが、そこに至るまでのストーリーの詰めの甘さが気になってしまう映画だ。これをうまくやると「セブン」になる、ということなのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ジョン・リー・ハンコック

 

出演 デンゼル・ワシントン/ラミ・マレック/ジャレッド・レト/クリス・バウアー/テリー・キニー/ナタリー・モラレス/グレン・モーシャワー/ソフィア・ヴァジリーヴァ/ジェイソン・ジェームズ・リクター/マヤ・カザン 

 

音楽 トーマス・ニューマン

 

リトル・シングス(字幕版)

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リトル・シングス - Wikipedia

 

 

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