「美しい星」　2017

★☆☆☆☆

あらすじ

　気象予報士としてテレビ出演する男は、ある日突然、自分が火星人だと言い始め、それに続くように子供たちも自分が宇宙人であると言うようになる。127分。

感想

　冒頭のうまくいっていない家族の誕生日パーティの様子は面白く、その後の展開にグッと期待が高まったのだが、本題に入った途端に一気につまらなくなってしまった。

　不思議な体験をきっかけに主人公は自分を火星人と称すようになり、子供たちもそれぞれ自分を異星人と言い出すようになるのだが、そこからそれぞれが何をしたいのだか、方向性が見えない。だから何？と言いたくなるような苛立たしさを感じてしまった。主人公が突然環境問題に目覚めた理由もよく分からない。

　しかも主人公が訴える環境問題がド直球すぎる。まるで下手なSNS上の議論を見せられているかのような気分になって戸惑ってしまう。全く面白い物語に落とし込めておらず、この監督ってこんな人だったっけ？と不安になってしまった。普通のエンタメ作品を作ってきた人が、急に偏ったプロパガンダ映画や宗教映画を作り出したような不穏さがある。

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　だが、この作品が三島由紀夫の小説を原作にしていると知って少し安心した。ただ、だとしたら逆に、監督自身は本当は環境問題に大した関心を持っていないのかもしれないなと感じた。本当に関心があるのなら、クライマックスで紋切り型な対話などさせないだろう。空虚すぎて全然彼らの喋る言葉が頭に入って来なかった。きっと、今社会問題を取り上げるとしたら環境問題かな？ぐらいの軽いノリで安易に取り上げたような印象がある。

　別に登場人物が宇宙人を自称してもいいし、環境問題を取り上げてもいいのだが、せめて面白く描いて欲しかった。つまらないのに上映時間が２時間以上あるのも辛くて、結局この映画は環境問題ではなく家族の絆を描きたかったようだが、中盤から体が拒絶反応を示してほぼ気絶していたので、あまり覚えていない。