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「なめくじに聞いてみろ」 1962

なめくじに聞いてみろ 新装版 (講談社文庫)

★★★☆☆

 

あらすじ

 父親が育てた弟子の殺し屋たちを倒すために上京してきた息子。別タイトルは「飢えた遺産」。

 

感想

 父親の弟子の殺し屋たちを、主人公の息子が一人ずつ消していく物語。ただ順番に弟子を見つけ出してきては倒していくのではなく、途中から敵が先手を打ってきたり、倒した敵の恋人やその弟子が復讐に現れたりと、敵の登場の仕方に工夫があるのが良かった。マンネリを上手く回避し、先の読めない展開になっている。

 

 また、トランプやマッチ、傘など、意外な道具を使う殺し屋たちのユニークな殺しの手口も面白い。よくそんなのを思いつくなと感心してしまった。時おり手品の種明かしや紙の種類についてなど、妙に詳しく言及する箇所があったりもして、著者の博識ぶりが窺える。

 

 

 主人公は少し変わった仲間たちと共に殺し屋たちと対峙していく。洒落っ気のある会話やギャグを繰り広げつつも、ハードボイルドな雰囲気も持っていて、不思議な空気感を漂わせた物語だ。なんと言っていいのか一言では評しにくいのだが、巻末の解説によると「ナンセンス活劇」と呼ばれるものらしい。暇つぶしで読む娯楽作品としては最適そうなジャンルだ。

 

 ただ、それなりには面白いが、そこまで面白いわけではないと言った感じで、あまりグッとくることはなかった。500ページ以上ある文量も、終盤になるにつれてしんどく感じるようになってしまった。

 

 笑いを散りばめつつ毎回様々な殺し屋と対峙するストーリーは、連続ドラマなどで映像化すると面白いものになりそうではある。これをベースに色々と脚色も出来そうだ。岡本喜八監督によって映画化もされているので、それも見てみたくなった。

 

著者

都筑道夫

 

 

 

登場する作品

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*「死刑台のエレヴェーター」

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