★★☆☆☆
あらすじ
火星に移植し役割を終えたゴキブリを駆除するために送り込まれた一行。
感想
500年後の日本が舞台で、そこで描かれている都市の映像はアニメっぽいが悪くない。その後登場する宇宙船内の様子も特撮っぽいが、これもちゃんとしている。その他のCG映像も自然で、映像自体は満足できるものになっている。日本でもこのレベルのものが出来るのかと感心するほど。日本らしいSF映画と言える。
唯一気になったのは、役者陣のメイクアップが完璧に仕上がり過ぎている事。雑誌の撮影なのかと思ってしまうほどの完璧なヘアスタイルにメイクで、映像で作り上げたせっかくのリアリティを貶めてしまっている。害虫駆除業者がキメキメでやって来たら、違和感ありまくりなのは当然だ。もしかしたら劇画のテイストを出そうとしていたのかもしれないが。
あまり評判のよくない映画だというのは知っていたが、正直、中盤まではそんなに悪くなかった。味方がバタバタと死んでいくのは容赦がなくていいし、ヒロインと思われた武井咲よりも小池栄子が目立つ活躍をしているのも面白い。計画には実は別の目的が隠されていて…というプロットもありきたりではあるが、見せ方は悪くなかった。
ただ中盤以降の失速感が半端ない。陰謀に屈せず俺たちは生き残るのだ、と主人公たちが戦う相手は無数のゴキブリたち。最初は感情に任せてバッタバタと倒せば盛り上がるのかもしれないが、次第に冷静になってきて、相手は無数だしキリがないよね?これどうやったら終わるの?と考え始めてしまい、集中力が切れかけた。分かりやすいラスボスがいるわけでもないので目標がない。
そして、序盤から登場人物たちのバックグラウンドが時々挿入されていて、別に全員分はいらないのだけどな、と鬱陶しく思っていたのだが、そのいらない部分だけが残って、最後は妙に臭いヒューマンドラマに。ゴキブリ対人間の戦いはどこかへ行ってしまった。結局何の話だったのかよく分からない。
ところで、山下智久は終盤まで生き残る役をやっているのだが、大した見せ場もなくて、何のためにいたのかよく分からずに少し可哀そうだった。そして「いい演技をしている小栗旬」感のある小栗旬の鼻につく演技はだるかった。
武井咲の再登場と続編を匂わせるラストは思わずフフッとなって、一番笑えた。
スタッフ/キャスト
監督 三池崇史
脚本 中島かずき
原作 テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
出演 伊藤英明/武井咲/山下智久/ケイン・コスギ/菊地凛子/加藤雅也/小池栄子/篠田麻里子/滝藤賢一/太田莉菜/福島リラ/渋川清彦/(声)池田秀一/的場浩司/国広富之/谷村美月