★★☆☆☆
あらすじ
太平洋戦争末期の南の島で 、国民学校の教師を務める主人公の女性が一人の軍人と出会う。小説「死の棘」の作家・島尾敏雄の夫婦がモデル。
感想
上映時間が2時間半以上ある映画。ただ体感時間としてはさらにその倍くらいあったような気がする、とにかく長い映画。
島の女教師とやってきた軍人が出会い、恋をする物語。満島ひかりの熱演は認めるが、とにかく物語が単調すぎる。引きの画が多くセリフも少ないので、もともとドラマチックに描く気はなく、淡々とした中で主人公の募る想いを描こうとしたのだと思うが、全然それが見えない。主人公の気持ちが垣間見えても単発で積み重なっていかず、毎回リセットされる感じだ。
主人公を描けていない上に、その他の登場人物たちの心情もちゃんと描いていないので、見ているこちらの気持ちは一向に盛り上がらない。そんな感情移入のできない状況で、知らない場所の知らない人たちの生活を無理やり見させられているだけ。しかもやたらと冗長なシーンばかり。さらに戦争や特攻といった要素も重要なはずなのだが、それも単発で描くだけで何も分からない。
劇中にたくさん登場する島の唄や踊りなどから、本土とはかけ離れた島の景色や生活を描く事を主眼にしたのかもしれないなとも思うのだが、それも良いところだけ切り取っているようなズルさを感じる。そのファンタジー感がシラケた気分に拍車をかける。
フラットな気分で見始めてフラットな気分で見終える映画。映画の中身よりは、ちゃんと見終えることができた自分の忍耐力をまず褒めたくなる。数分ごとに時計を見て時間の流れの遅さを嘆きはしたけども。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 越川道夫
原案 海辺の生と死 (中公文庫)/島の果て (集英社文庫)ほか
出演 満島ひかり/永山絢斗/川瀬陽太/井之脇海/津嘉山正種