★★★☆☆
あらすじ
太平洋戦争末期の南の島で、生死の間をさまよう日本兵たち。
感想
極限状態の兵士たちがまるでゾンビのよう。もうほとんど人間には見えない。食料は尽き組織は壊滅的で全く軍隊の体をなしておらず、ただ生きるためにさまよっているように見える。正直、勝算は全く感じられない。
かなりグロテスクな表現もあり、特に突然の敵襲にバタバタと人が倒れていくシーンは強烈。「戦死」なんて簡単に言うが、そんな綺麗に人は死んでいかない。体がちぎれ、内臓は飛び出し、わけがわからないうちに死んでいく。こんなことが起きることを想像できない人間が、戦争の必要性を声高に叫ぶのだろう。もしくはそれは自分には起きないと考える幼稚な心を持った人間か。
そんな戦争の悲惨さを伝えるグロテスクな映像がありながら、時に美しくみえる映像も差し込まれている。そんな人間たちの争いなんか我関せずで、通常運転する美しい南国の大自然。極限状態を彷徨う人間たちも、時に自然に体を預け、まるで自然と一体化してしまったように見える瞬間もある。
極限状態の中で正気を失っていく人々を描いた凄みのある映画。なかなかに体力を奪われる映画で、気力体力が充実していないとしんどいかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/出演/撮影/編集 塚本晋也
出演 森優作/中村達也/中村優子/リリー・フランキー/山本浩司