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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ヴァイブレータ」 2003

ヴァイブレータ

★★★★☆

 

あらすじ

 コンビニで知り合った男の運転するトラックに乗り込んだ女。

 

感想

  新潟へ荷物を運ぶトラック運転手に女が同行するロードムービーだ。二人が知り合うきっかけが不思議ではあるが、ちょっとしたコンタクトで一瞬で話がまとまったというか、合意が成立したということか。なくはない。

 

 女がルポライターということもあり、トラックの中では男が饒舌に語る。トラックドライバーの生態のようなものも語られ描かれているので、単純にそれを知るだけでも面白い。無線の話とかヤクザが絡んでいる話とか、男はさも当たり前のことのように語るが、知らない世界を覗き見るようで好奇心を満たしてくれる。

 

 

 見ず知らずの男のトラックに乗り込む時点で相当女の心は病んでいるわけだが、男と共に移動を続けることで次第に女の心が変化していく。その理由はいろいろとあるのだろうが、単純に孤独を抱えて一つ所にじっとしているよりは、誰かと触れ合ったりいろんな場所に行くことは体に良い、という事がまずあるような気がした。そんな映画を観ているだけでも、少し心が癒されるような感覚があるわけだから。

 

 互いによく言葉を交わしていた前半とはうって変わり、後半は次第に口数が少なくなっていく二人が印象的だ。出会いの最初の気分の高揚は薄れ、冷静さを取り戻しつつある。決して嫌気がさしたわけではないのだろうが、非日常が日常になりつつあることを感じている。そこでは自分の嫌な部分をさらけ出してしまうこともあるだろうし、一線を越えて相手に踏み込んでいかなければいけない場面もあるかもしれない。

 

 そう考えると、荷物を運び終えて東京で別れたのは正解だろう。はたから見れば互いにおいしい思いをしたということになるが、でもそれでいい。コンビニで二人が出会わず、そのままいつもの日々を過ごすよりは全然良かったはずだ。

 

 主演の寺島しのぶと大森南朋がいい演技を見せている。それから、この映画ではいいタイミングでいい音楽が流れるのが良かった。意外と邦画でそんな映画は少ないかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督 廣木隆一


脚本 荒井晴彦

 

原作 ヴァイブレータ 新装版 (講談社文庫)

 

出演 寺島しのぶ/大森南朋/牧瀬里穂/坂上みき/安藤玉恵/村上淳/野村佑人

 

ヴァイブレータ

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ヴァイブレータ (映画) - Wikipedia

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