★★★☆☆
あらすじ
クリエイティブな妻と暮らす詩を書くバス運転手の一週間。
感想
早朝仕事に出かけ夕方帰宅、そして妻との食事の後、犬の散歩に出かけついでにバーで酒を飲む、ルーティンのようにそんな変わり映えのない平日を過ごすバス運転手。物静かであまり言葉を交わさず、時おり詩を書いている。
そんな彼の妻は独特のセンスで部屋を飾り付け、絵を描き、突然歌手を目指してギターを購入したりする。週末のマーケットでマフィンを売り、ゆくゆくはお店を持てるかもなどと考える超ポジティブな女性。
まるで性格の違う夫婦で、実際それほど会話も交わさないし、べたべたといつも一緒にいるというわけでもない。最初は、押しの強い妻に気弱な夫が従わされている関係なのかと思っていたが、日を追いながら二人を見ていると、次第にそうではないということが分かってくる。
一見正反対に見える二人だが、共通しているのはクリエイティビティ。妻は夫の書く詩に敬意を示し、夫は妻のあふれ出る創作意欲に驚嘆している。それが互いを強く結びつけている。早朝に夫が仕事に出かける前に必ず言葉を交わす妻。そんな二人の姿に強い絆を感じる。
映画はオフビートな雰囲気で、取り立てて大きな出来事が起きるわけでもなく、何気ない日常のふとした瞬間がユーモラスに描かれている。いつもは淡々としている主人公がノートを失って珍しく気落ちするも、しかし新たなノートを手に入れて再び詩を書き始めるというシーンが良かった。クリエイティビティは簡単に止められない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジム・ジャームッシュ
出演 アダム・ドライバー/ゴルシフテ・ファラハニ/バリー・シャバカ・ヘンリー/リズワン・マンジ/スターリング・ジェリンズ/カーラ・ヘイワード/永瀬正敏
登場する作品
「パターソン」 ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ