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「母性」 2022

母性

★★☆☆☆

 

あらすじ

 女子高生の自殺が報じられ、母と娘、それぞれの立場から二人の関係が語られていく。

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 戸田恵梨香、永野芽郁ら出演、廣木隆一監督。湊かなえ原作。116分。

 

感想

 冒頭で女子高生の自殺が映し出され、その後、母と娘が交互に語るかたちで、二人の視点から見た過去が回想されていく。

 

 まずは数十年前にさかのぼり、若い頃の母親が夫と出会い結婚するまでが描かれる。母親は通っていた絵画教室で夫と知り合う。

 

 

 ところで、市民文化センターの駐車場のシーンで、現在の大型化した車に合わせた広い駐車スペースに、当時の小ぶりな車を停めたことで、スカスカの駐車間隔が生じてしまっていたのは、違和感ありまくりで薄ら寒かった。しかも、停まっている車が今でも乗る人が多そうな、いかにもなクラシックカーばかりだ。適当に集めてとりあえず雰囲気を出しているだけの印象を受ける。

 

 夫と結婚したばかりの母親は、実母を加えてうまくやれていた。ただ、ここでも新居が森の中にあったり、室内のインテリアがスカスカだったりと、違和感がある。これも予算的な問題から雰囲気だけでやっているような気がするが、もしかしたら、母親が見ている幸福な世界と実際の世界の間には乖離があることを示しているのかもしれない。よく見ると家の壁も薄汚れている。

 

 やがて娘が生まれるが、ここから母親の幸福な世界に影が射すようになる。彼女が妊娠に困惑していたのが印象的だ。母親に愛し愛されてきた彼女は、完璧だった関係に入り込んでくる子供など望んでいなかったのだろう。どうしても娘よりも実母が気になってしまう。この辺りは、純粋に彼女を愛せた天然の実母と、それを何とか真似るだけの養殖の彼女の違いだろう。

 

 娘は、母親のそんな気持ちを敏感に感じ取っている。それは彼女の視点から語られるパートで分かるのだが、母と娘で言っていることはたいして変わらないような気もした。取り繕って話しているか、デフォルメして誇張気味に話しているかの違いでしかない。

 

 その後、事故で実母を失った母親と娘は、夫の実家で暮らし始める。義母に虐げられながらも従順な母親と、それに憤りや不満を感じる娘とのぎこちない関係が描かれていく。この先、どうなっていくのだろうと関心を失わずにダレることなく見ていられたが、結局たいしたことは何も起きずにそのまま終わってしまった。

 

 おそらく大きな山場は、実母が死んだ事故の真相が明らかになるシーンだろう。しかし、あの状況ではだいたい想像がつくことだ。驚きはない。

 

 また、冒頭の自殺した女子高生はこの娘とは別人物だった、となるのもどんでん返し的なサプライズのつもりのようだが、演じる永野芽郁が現在では教師役をやっている時点でバレバレだ。むしろ教師役だった永野芽郁が、回想シーンで娘として出てきた時の方が驚きだった。

 

 だから自明なことなのに、娘が自分の名前を思い出したシーンを劇的に描いた意図がよく分からなかった。文章でやればミスリードを誘う叙述トリックになるかもしれないが、映像でやられても「ですよね。だから何?」となるだけだ。それに、そもそも自殺した女子高生の名前を覚えていなかったので、うまくやられてもポカンとするだけだったかもしれない。

 

 それ以外の見どころとなると、メインテーマである母と娘の愛情をめぐる複雑な関係だろうか。しかし、母が娘を疎ましく思ったり、娘が母親に不満を覚えたりするのはそんなに珍しいことではない。愛憎渦巻きながらも関係を続けるしかないのが家族だろう。

 

 それに母と娘の根深い問題をじっくりと描きたかったのなら、大きな事件は不要で、些細な出来事の積み重ねでじわじわとしめつけるような展開の方が良かったような気がする。この内容では弱すぎる。

 

 その他、底意地の悪い義母や存在感のない父親など闇を感じるキャラクターたちも、見渡せば周りにひとりくらいはいそうな特異さでしかない。

 

 また、滅多に使わない表現だと言っていた「愛能う限り」という言葉を、母親と自殺した女子高生の母親が共に使っていたのは、何かつながりがあるからでは?と考えてしまったが、特に何もなかった。

 

 いったいこの映画の面白ポイントはどこだったのだろう?と首をひねってしまう映画だ。何も起きない。

 

スタッフ/キャスト

監督 廣木隆一

 

脚本 堀泉杏

 

原作 母性(新潮文庫)

 

出演 戸田恵梨香/永野芽郁/三浦誠己/中村ゆり/山下リオ/高畑淳子/大地真央/深水元基/淵上泰史/さとうほなみ/吹越満

 

音楽 コトリンゴ

 

母性

母性

  • 戸田恵梨香
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母性 (湊かなえの小説) - Wikipedia

 

 

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