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「赤々煉恋」 2013

赤々煉恋 

★☆☆☆☆

 

あらすじ

 町を彷徨う自殺した女子高生の魂。タイトルの読みは「せきせきれんれん」。

 

感想

 ふらふらと家や学校、街中をうろつく女子高生の魂。成仏できないからなのか、そもそも何故彼女が彷徨っているのか謎だ。自殺した罰のようなもので永遠に彷徨い続けなければいけないという事なのか。

 

 そして、そんな主人公が本当にただ彷徨っているだけなのがつらい。彷徨っているうちに何らかの目的を見つけてくれれば物語の方向性が分かるのだが、ずっと主人公が何をしたいのか分からないままだ。それを見守るのは苦痛でしかなかった。「プラプラしてないでやりたいことを見つけて取り組みなさい」と子を叱りつける世の親の気持ちとは、こういうものかとよく実感できる。

 

 

 そんなあてどない主人公の日々が描かれるのだが、その前に彼女が自殺した理由に首を傾げたくなる。思春期にありがちな恋愛の悩みでそこに友情が絡んで…という事なのだが、それぐらいで死ぬのかなと疑問だ。しかも、主人公は同級生のピンチを突飛な行動で救うようなキャラクターなのでますます謎だ。

 

 もうちょっといわゆる普通の女の子だったら納得できなくもないのだが、思いきったことが出来る子だから自殺も出来た、と言いたいのだろうか。死んだ後の事を描く前に、まずそっちをきっちり描いて欲しかった。

 

 そんなわけで自殺の原因は恋愛や友人の事なのだが、なぜか主人公が、娘が自殺して苦悩する母親に当たり散らしているのも謎だ。これは本当に意味が分からない。強いて言うなら主人公が何でも人のせいにするクズだから、なのか?そんな風に思えて、どんどん物語への興味が薄れてしまった。

 

 さらに、途中で全然心に沁みない凡庸な曲を訳詞の字幕付きでフルコーラスで流す意味も分からないし、出てくる子役がすべからく全く可愛くないのも謎。何を見せられているのかという怒りが沸々と湧いてきて、次第に頭が冴えてくる。寝る前には見ない方がいい映画だ。

 

 悪口ばかりで申し訳ないので良かった点を挙げておくと、秋本奈緒美の顔芸が面白かったこと。その他にもおかしな演出が多かったので、ちょっと手直しするだけで良質なコメディ映画になりそうなこと。そして、上映時間が83分と短かったこと。上映時間はあと60分ほど短かったらなお良かった。

 

 おそらく、自殺は良くないという事を言いたいのだと思うが、色々と想像力が足りないような気がする。数回描かれる自殺のシーンがどれも淡白過ぎる。主人公は母親に当たり散らしていた間違いに気づき謝罪していたが、誰かを苦しめるから自殺は良くないというメッセージはどうなのだろう。そもそもそれを理解したうえで自殺するのだろうし。そんな事よりも、まずは自分のために自殺するべきでないと言うべきだろう。自分のために生きようと思えないなら、生きていても苦しいだけのような気がする。

 

 この映画には、引きこもりや自殺の問題に取り組む団体がサポートとして入っているようだが、この内容は問題ないの?と逆に心配になってしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 小中和哉


原作 赤々煉恋「アタシの、いちばん、ほしいもの」


出演 土屋太鳳/清水富美加/吉沢亮/有森也実/(声)大杉漣/秋本奈緒美

 

音楽 T$UYO$HI

 

赤々煉恋

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