★★★☆☆
あらすじ
元夫が再婚して動揺する二児の母や、保守的で偏見にまみれた母親に本当のことを言えない娘たちなど、それぞれの事情を抱えた人たちが母の日を迎える。
感想
元夫が若い女と再婚して動揺する二児の母を中心に、恋人の子供を産むが結婚にはなかなか踏み切れない若い女性、妻の死から立ち直れず娘たちとの関係にも悩む男性など、様々な人々の母の日に至る数日間が描かれていく群像劇だ。もっと母と子のベタな話が展開されていくのかと想像していたが、思っていたよりも多種多様なエピソードが繰り広げられる。
そんな中で印象的だったのは、偏見のかたまりのような母親と彼女から逃れた二人の娘の話だ。長女はインド人と結婚し、次女は同性婚をしている。明らかになった娘たちの現状は、保守的な母親にはショッキングで最初は拒否反応を示していたが、なんだかんだで受け入れるようになっていく。インド人に差別的だった彼女が、娘のインド人の夫の母親と、子供に駆け落ちされた者同士で愚痴を言い合い、意気投合していたのは可笑しかった。
結局、家族の血のつながりは、おおよその問題を水に流してしまい、慣れさせてしまうものだ。同性愛を嫌悪している人だって、自分の子供がそうだと分かると態度が変わったりする。
チェイニー元米副大統領の次女メアリーさんが同性婚 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
だが今回は、娘の幼い子供、母親にとって孫の存在が大きかったような気がする。娘に対してわだかまりがあっても、その子供には責任はない。それになにより孫は可愛い。これもまた血のつながりがなせる業だが、子供がいなければ和解はなかったかもしれないので、子供の有無は家族の関係に大きな影響を与えるのだなと実感する。
タイトルが「マザーズ・デイ」だったことを忘れてしまいそうなエピソードばかりだったが、家族の話をすれば自然と母親の話にもなるということか。たとえ不在であってもそれは変わらない。
メインとなる二児の母を演じるジェニファー・アニストンのコメディエンヌぶりはそこそこ面白かったが、全体的にもう少し母親の話を押し出した方が良かったような気がする。タイトルに冠した「母の日」に見るべき映画、と言うには物足りなさがあった。
スタッフ/キャスト
監督/原案 ゲイリー・マーシャル
出演 ジェニファー・アニストン/ケイト・ハドソン/ジェイソン・サダイキス/ブリット・ロバートソン/ティモシー・オリファント/ヘクター・エリゾンド/ジャック・ホワイトホール/ジェニファー・ガーナー/シェイ・ミッチェル/マーゴ・マーティンデイル/サラ・チョーク/アーシフ・マンドヴィ/ジョン・ロヴィッツ/リサ・ロバーツ・ギラン/クリスティーン・レイキン/ロリー・オマリー/ラリー・ミラー/(声)ペニー・マーシャル