★★★☆☆
あらすじ
歴代の総理を輩出する名門校に入学し、自身も総理を目指す主人公は、その試金石となる生徒会長になるために、様々な政治工作に乗り出す。
感想
エリートが集う名門校での生徒会長を巡る熱い選挙戦。旧態依然な校風に、目的意識の高い生徒たち。その古臭さや生真面目さ、必死さがどこか奇妙でコミカルさもあり、思っていたよりも面白かった。男子校という事もあり、流行りのボーイズラブ的な要素も盛り込まれている。
しかし同性愛的なものに不寛容に思えるこういう保守的な団体は、同性だけで固まりたがる習性があって、同性愛的な要素をたくさん含んでいるのはよく考えると不思議だ。恐らくもしかしたら自身が同性愛者でないかという怯えが、同性愛に拒否反応を示しているのだろう。同性愛を認めてしまうと、自分までもが同性愛者であることを認めなければいけない気がしているのかもしれない。
映画は、正々堂々とした選挙ではなく、敵陣営の切り崩し工作や現金による買収工作などドロドロとしたもので、それが面白い。主人公が、当初は当然王道の勝ち馬に乗る作戦だったというのもリアル。そして、事情により不利な陣営に鞍替えして戦わなければならなくなるというのが映画的に良かった。そこには全然、候補者たちの掲げる政策なんて考慮されていない。
そんな実に生々しい選挙戦だったのに、先輩たちの選挙では竹内涼真演じる同級生、自分たちの選挙では主人公自身が余計なことをして無駄に青春ドラマ風にしてしまったのが興ざめだった。ま、青春ドラマなので仕方ない部分はあるのかもしれないが。急にヌルくなってしまった感があった。最後まで生々しく戦って欲しかったという思いはある。
ただ全体としては、独特の世界観が構築され、主演の菅田将暉をはじめ、登場人物たちが皆良い演技をしていて悪くはない出来だった。本編ではほとんど見せ場のなかった永野芽郁も、なぜかエンドロールで見せ場を与えられていたし。あれは何だったんだろう、不思議な感じがした。
スタッフ/キャスト
監督 永井聡
原作 帝一の國 コミック 1-14巻セット (ジャンプコミックス)
出演 菅田将暉/野村周平/竹内涼真/間宮祥太朗/志尊淳/千葉雄大/永野芽郁/吉田鋼太郎