★★★☆☆
あらすじ
歴代の総理を輩出する名門校に入学し、自身も総理を目指す主人公は、その試金石となる生徒会長になるために、様々な政治工作に乗り出す。
菅田将暉主演、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗ら出演。 古屋兎丸の同名漫画が原作。118分。
感想
エリートが集う名門校での生徒会長を巡る熱い選挙戦が描かれる。旧態依然な校風に、目的意識の高い生徒たち。その古臭さや生真面目さ、必死さがどこか奇妙でコミカルさもあり、思っていたよりも面白かった。男子校という事もあり、流行りのボーイズラブ的な要素も盛り込まれている。
しかし同性愛的なものに不寛容に思えるこういう保守的な団体は、同性だけで固まりたがる習性があって、同性愛的な要素をたくさん含んでいるのはよく考えると不思議だ。恐らくもしかしたら自身が同性愛者でないかという怯えが、同性愛に拒否反応を示しているのだろう。同性愛を認めてしまうと、自分までもが同性愛者であることを認めなければいけない気がしているのかもしれない。
繰り広げられる選挙戦は、正々堂々としたものではなく、敵陣営の切り崩し工作や現金による買収工作などドロドロとしており、それが面白い。主人公が当初は当然王道の勝ち馬に乗る作戦だったというのもリアルだ。そして、事情により不利な陣営に鞍替えして戦わなければならなくなるというのが良かった。候補者たちの掲げる政策なんてまったく考慮していない。
そんな生々しい選挙戦だったのに、先輩たちの選挙では竹内涼真演じる同級生が、自分たちの選挙では主人公自身が余計なことをして、無駄に青春ドラマ風にしてしまったのは興ざめだった。実際、青春ドラマなので仕方ない部分はあるのかもしれないが。急にヌルくなってしまった。最後まで生々しく戦って欲しかった。
ただ全体としては、独特の世界観が構築され、主演の菅田将暉をはじめ、登場人物たちが皆良い演技をしていて悪くはない出来だった。本編ではほとんど見せ場のなかった永野芽郁も、なぜかエンドロールで見せ場を与えられていた。あれは何だったのだろう。不思議な感じがした。
スタッフ/キャスト
監督 永井聡
脚本 いずみ吉紘
原作 帝一の國 コミック 1-14巻セット (ジャンプコミックス)
出演 菅田将暉/野村周平/竹内涼真/間宮祥太朗/志尊淳/千葉雄大/永野芽郁/吉田鋼太郎/萩原利久/中村育二/山路和弘