★★★★☆
あらすじ
「マクドナルド」を世界的なハンバーガーチェーンにしたレイ・クロックの伝記映画。
感想
巨大なマクドナルド帝国を築き上げたレイ・クロックの物語。彼自身がハンバーガーショップを始めたわけではなく、繁盛していた人気店と契約を結んでフランチャイズ展開し、成功したというのは割と有名な話だ。これは、ビルゲイツがWindowsの元となったシステムを買い取って成功した話を連想させる。成功する方法は一つではなく、何通りもあるという事を教えてくれる。
そのレイ・クロックとフランチャイズ権の契約をした、人気のバーガー屋「マクドナルド」を開いていたマクドナルド兄弟の話は面白かった。最初はドライブインを経営し繁盛していたが、客層が悪く人件費もかかって儲けが少ない。それで人気メニューの上位3品、ハンバーグ、ポテト、ソフトドリンクだけを売る新たな店を作ろうと思い立った事、そして高品質な商品を効率的に提供できる店舗にするために、まずは何度もシミュレーションを繰り返し、導線を確認してから店舗設計をした事など、出てくるエピソードがどれも興味深く、そして感心してしまった。
主人公の創業者としての物語がメインなので端折ったのだとは思うが、彼らのその後の活躍ぶりも見てみたかった。いくらシステムが画期的だったとはいえ、同業他社も出てきただろうし、改善は行われていたはずだ。彼らが関わっていたかは忘れたが、マクドナルドとしては確かハンバーガー大学を作ったりしていたはず。
それからレイ・クロックが、50歳を超えてからこの事業を始めたというのも有名な話。イケイケの若者ではないのだから人生の機微を理解した、温厚で誠実なカーネル・サンダースおじさんのようなキャラクターをイメージしてしまうが、全くそんなことはない。
本人が言っているが成功に必要なのは、天才でも学歴でもなく、信念と継続。普通の人ならとっくにあきらめてしまっていそうな50歳になってもそれを保ち続けた人なわけだから、考えてみれば若くして成功した人よりもかえってクセが強いのは当たり前かもしれない。50歳になってもギラギラしているわけだから。マクドナルド兄弟との確執や苦楽を共にした妻との離婚、そして別の女性との結婚と、典型的な成功者あるあるが展開されて、少々げんなりしてしまう。
ただ、だからと言って彼ではなくマクドナルド兄弟がフランチャイズ展開をしていても、同じように成功していたかというとそうはならなかったはず。不動産を握るという発想にたどり着けなかっただろうし、強欲に次々と店舗を増やして世界展開までもっていけなかっただろうし、立ちふさがる障害を乗り越えていくタフさもなかっただろう。
だからやっぱりレイ・クロックはすごかったという事になる。そのあたりがしっかりと描かれていて、「ビジネスは弱肉強食の世界なんだ」とかしたり顔で言っちゃう人には成功してもらいたくないよな、と心のどこかで思ってしまっている自分も認めざるを得なくなってしまう上手い構成となっている。映画としては面白いのだが、ビターな後味が残る。
ところで主人公がマクドナルド成功の要因として「McDonald's」という店名の語感の良さを挙げているが、この単語の正式な発音は日本人には難しいとされている。確かに、映画の中で当然頻出するこの店名の発音を何度聞いても、全くスッと言えるようになれる気がせず、情けない気分になる。
スタッフ/キャスト
監督 ジョン・リー・ハンコック
製作 ドン・ハンドフィールド/ジェレミー・レナー/アーロン・ライダー
出演 マイケル・キートン/ニック・オファーマン/ジョン・キャロル・リンチ/リンダ・カーデリーニ/パトリック・ウィルソン/B・J・ノヴァク/ローラ・ダーン
ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ - Wikipedia
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