★★★☆☆
あらすじ
死を間近に控えた男は、自身の生涯を振り返るミュージカルを鑑賞する。
20世紀半ばに活躍した作曲家コール・ポーターの半生を描く。
感想
作曲家コール・ポーターの半生が妻との関係を中心に描かれていく。ただ彼は同性愛者で妻もそれを理解した上での結婚生活は、正直なところよく分からなかった。
お互いが納得しているのなら夫婦の形なんてどうだっていいが、その機微がもうちょっと分かるように描いて欲しかった。二人に絆があったことは確かなのだろうが、何が二人を結び付けていたのかは見えてこなかった。ほぼ外から見た夫婦の姿しか描かれていない印象だ。
その代わりに力を入れているように見えたのは、主人公の数々の代表曲を紹介する事だ。しっかりとミュージカル形式で再現していて楽しい。ただあまり自分が知っている曲がなかったので、いまいち盛り上がり切れなかったところはある。
終盤は人生の終局の物悲しさが伝わってくる内容で、しんみりとしてしまった。どんなにお金があっても、どんなに幸せな人生を送っていても、歳を取れば次第に周りの人々が去っていき、最後は寂しいものとなる。主人公らには子供がいなかったことも大きいだろう。
長生きしたいと思っていても、最後の一人になるまで長生きしてしまうのは考えものだ。浦島太郎と同じように、とてつもない孤独を味わうことになる。結局は周囲の人たちをほどほどに送り、ほどほどに残して死ぬのが一番幸せな最期なのだろう。色々と考えてしまった。
芸術家らしく最後まで気高くあろうとする主人公の姿には胸を打たれる。スポットライトの二人がピアノの前で見つめ合うラストシーンが心に残る。
スタッフ/キャスト
監督/製作 アーウィン・ウィンクラー
出演 ケヴィン・クライン/アシュレイ・ジャッド/ジョナサン・プライス/ケヴィン・マクナリー/ジェームズ・ウィルビー/ケヴィン・マクキッド/ジョン・バロウマン/ララ・ファビアン
音楽 コール・ポーター/スティーブン・エンデルマン
登場する人物
コール・ポーター/モンティ・ウーリー/ルイス・B・メイヤー/アーヴィング・バーリン/セルゲイ・ディアギレフ/ボリス・コフノ/エセル・マーマン