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「罪の声」 2020

罪の声

★★★☆☆

 

あらすじ

 菓子会社への脅迫などで昭和を騒がした未解決の劇場型犯罪を改めて取材することになった新聞記者は、脅迫で使われた子供の声の主と出会う。

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 グリコ・森永事件をモチーフにした物語。142分。

 

感想

 未解決の昭和の大事件、製菓会社に対する一連の脅迫事件の真相を探る物語だ。その意義をあまり理解していない新聞記者の主人公が外側から、幼少時に自分の声が脅迫に使われたことを知った仕立て屋の男が内側から調査を進めていく。どっちがどの取材をしたのか若干混乱するところはあったが、別々に調査を始めた二人がお互いの存在にたどり着き、一つにつながる過程は見ごたえがある。

 

 モチーフになったグリコ・森永事件の史実に沿った内容となっているようだが、事件に利用された子供たちに焦点を当てているのが面白い。本人は物心がつく前で覚えていなかっただろうから、大人になってそれを知ったら大いに戸惑うはずだ。知らないうちに大事件に関与していたなんて気分がいいものではないだろう。しかも、もう時効を迎えているので警察に届けても仕方がなく、どうしようもない。

 

 

 仕立て屋の男がその事実を知ってどうしていいか分からず、落ち込んでしまった気持ちはよく分かる。気持ちを整理するために真相を知ろうとするのは当然だろう。ただ誠実な性格のせいなのか、出会ったばかりでまだよく知らない人たちに「実は自分があの声の主なんです」と正直に打ち明け過ぎなのは気になった。変な噂が広まりそうで心配してしまう。

 

 主人公と仕立て屋の男、ついに出会った二人が協力し、真実はとんとん拍子に明らかになっていく。雑な計画でも割と大丈夫だった昭和の事件だし、仕立て屋の男からは内部情報があったので、このあたりは納得感がある。

 

 しかしいざ真実が明らかになってしまうと、案外とたいしたことないな、というのが素直な感想だ。そこらの無法者たちが集まっただけの、ありふれた反社集団による犯罪だ。だが真実なんて、明らかになってみるとそんなものかもしれない。ただ、身代金ではなく株価操作で大金を手にしようとしていたという説は興味深かった。

 

 ミステリーとしては楽しめたのだが、浪花節的ウェットなエピソードがたっぷりで、だいぶそれがしんどかった。これは実際の事件をモチーフにしているので、ドキュメンタリー的になるのはある程度仕方がないのかもしれない。実際、あの事件の関係者たちが今どうしているのかは関心がある。

 

 だが日本のミステリーは、こんなどんよりしたものばかりになりがちなので、たまにはカラッとしたのも見せてくれよと思ってしまっった。

 

スタッフ/キャスト

監督 土井裕泰

 

脚本 野木亜紀子

 

原作 罪の声 (講談社文庫)

 

出演 小栗旬/星野源/松重豊/宇野祥平/古舘寛治/市川実日子/火野正平/宇崎竜童/梶芽衣子/阿部亮平/木場勝己/橋本じゅん/佐藤蛾次郎/宮下順子/塩見三省/正司照枝/岡本麗/須藤理彩

 

罪の声

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罪の声 - Wikipedia

 

 

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