★★★☆☆
あらすじ
秘密結社を名乗る4人組のペンギンズは、ペンギンに恨みを持つタコと戦うことになる。
「マダガスカル」シリーズのスピンオフ作品。92分。
感想
冒頭は、三匹のペンギンが転がる卵を追いかけて助けるところから始まる。その卵が孵化して四匹となり、そのまま群れから離れていくのは物語の始まりに相応しい、分かりやすい演出だった。
だがタイトルバックの後、いきなり10年が過ぎて、何やら彼らがサーカスの一団になっているのには混乱した。どうやらスピンオフ元の「マダガスカル」の設定を引き継いでいるらしい。そちらを見ていない自分が悪いのだが、ここで急に置いてけぼりを食らったような気分になってしまった。
その後は一方的にペンギンに恨みを持つタコの一味との戦いとなる。これにスパイ機関に所属するエリート動物集団との主導権争いが加わるのが面白い。普通は敵側内部に覇権争いがあり、そこに主人公らがつけこむパターンが一般的なのに、この映画では主人公側が内輪もめをしていて、ヒーローらしからぬ人間臭さ(人間じゃないけど)がある。
そして敵側のタコのキャラクターもいい。特に部下たちのむっつりとし佇まいが良くて、こうやって改めて観察するとやはりタコは奇妙な造形をしているなと再認識する。火星人のモデルにしたくなる気持ちも分からなくはない。ただ、彼らは自分たちを上回るペンギン人気を妬んで敵意を見せているのだが、そもそもタコが人気のある生物だというのがピンとこない。日本と欧米ではタコに対する認識が違うのだろうか。
ペンギンズが下っ端の新人をとにかくカワいいとべた褒めし、何をやっても許してしまうところとか、こんなの子どもに見せたら変なトラウマになるのではないかと余計な心配をしてしまうような、色んな異形にペンギンを変えてしまうところとか、笑えるシーンは随所にある。
ただ、どんどんと進行していく緩急のないハイペースに戸惑い、疲れてしまうところがあった。ただこれは、メインの客層である子供たちを飽きさせないために、敢えて細かいことは抜きにしてやっているのかもしれない。
それから、カワいさしか求められていなかった新人が最後に一人で大活躍する展開は上手かったが、全体としては特に深みはないシンプルなストーリーだ。子供たちは満足しそうなので一緒に見る分にはいいが、大人が一人で見るとなると物足りなさを感じてしまう映画かもしれない。
スタッフ/キャスト
監督 エリック・ダーネル/サイモン・J・スミス
出演(声) トム・マクグラス/クリス・ミラー/クリストファー・ナイツ/コンラッド・ヴァーノン/ベネディクト・カンバーバッチ/ジョン・マルコヴィッチ/ケン・チョン/ピーター・ストーメア/アンディ・リクター
ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー - Wikipedia
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