★★★☆☆
あらすじ
テヘランで暮らす大学生の娘は、母親がひた隠す過去に、ある日本人が関与しているらしいことを知る。
永瀬正敏、小林綾子ら出演。日本・イラン合作映画。93分。
感想
テヘランで暮らす母娘の物語だ。最初は二人の仲良さげな様子が描かれる。しかし、母親には気に病んでいることがあり、それは彼女の過去に関することらしい、ということが分かってくる。そして、娘は母親の様子がおかしいことに気付き、その原因を探ろうとしている。静かで淡々とした中で展開されるミステリーで、舞台がイランということもあり、イラン人監督アスガル・ファルハーディーの一連の作品を彷彿とさせる。
そして、母親の秘密には、日本が関係していることも分かってくる。イランの異国情緒たっぷりの映像の中で、電話を受けた母親が突然、片言の日本語で話し始めた時には、あまりの違和感に思わず笑ってしまった。ただ、それは最初だけですぐに慣れる。母親の前に現れた日本人の男は、どうやら娘に関係する人物のようで、彼女はそれを隠したいらしい。
母親が日本で暮らしていたことも知らなかった娘は、聞かされていた父親の話にも疑念を抱くようになり、真相を知るために日本人の男と接触を図ろうとする。母親の頑な態度を見ていたら、彼らにどんな過去があったのかと好奇心をかきたてられる展開だ。だが、クライマックスで明らかになった真実は、想像を大きく下回るもので、それだけ?と逆にビックリしてしまった。
そんなに深刻な出来事でもなく、別に娘に正直に話してもいいような気がしてしまうが、母親としては一人で子供を産んだ世間体や、娘を手放そうとした負い目を気にしたのかもしれない。正式な手続きをしているなら法的な問題がある可能性もある。しかし、20年も前の話なのだから、そのあたりは適当に誤魔化せるはずだ。日本でお世話になった人だと男を紹介すれば済む話だ。
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あまりにも呆気ない話だったので、隠された裏の物語があるのかもと深読みしたくなる。昔の話だから水に流しているだろうと勝手に思い込んでいるが、実は男は許しておらず、娘を連れ帰ろうとしているとか、いたって普通のイラン人らしい顔立ちをしているのに、自分は日本人との子ではないかと疑ってしまう娘の危うい精神状態とか、どんどん首を突っ込んでくる恋人のヤバさとか、いろいろ考えてしまう。
しかし、手術で母親が恐れていたのは、麻酔の影響で過去の話をしてしまうことだった。だからどれも違うのだろう。
ただ、一つの問題がいくつもの問題を引き起こしてしまうというのは意図していたような気がする。それ自体は面白かったが、肝心の本筋が残念だった映画だ。今は日本もイランも大変な状況だが、娘はどちらで人生を送った方が幸せだったのだろうと考えてしまう。
スタッフ/キャスト
監督 筒井武文
脚本 ナグメ・サミニ/川崎純
出演 ラレ・マルズバン/マーナズ・アフシャル/永瀬正敏/アリ・シャドマン/小林綾子/ナシム・アダビ/マルヤム・ブーバニ
