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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「地獄」 1999

地獄

★★★☆☆

 

あらすじ

  世の乱れを憂えた閻魔大王に、地獄の恐ろしさを知らしめるために招かれた女性。

 

感想

 幼女連続誘拐殺人事件など、実際にあった事件をモチーフに、犯人たちが地獄にやってきたらどんな目に遭うのかを描いた作品。ある意味では、 法では裁ききれない悪者たちを成敗する必殺仕事人的な物語と言えるかもしれない。死後ではあるが、被害者や庶民の果たせなかった恨みを果たす、という溜飲が下がる物語。このパターンであれば、どれだけでも作れそうな気がする。

 

 まずは宮崎勤らしき人物が地獄で責め苦を受け、続いてオウム真理教らしき団体が登場する。こんな感じでテンポよく実際にあった事件の犯人たちが次から次と罰せられていくのかと思ったがそうではなく、ここからはオウム真理教事件がじっくりと描かれていく。 

 

 その取り上げ方が、一般的で一通りな内容を網羅するといった感じではなくて、作者の関心が特に高いものを優先的に描いているように見え、映画に作家性のようなものが感じられる。それなら地獄とか出さないで、普通に事件を真正面から描けばいいのにと思わないでもないが、それもまた作家性という事だろう。

 

 どことなく荒いエログロナンセンス加減の映像が、昭和のテレビっぽさがある。最初はそのチープさが気になるのだが、いつの間にかそれが味のように感じられてきた。最後なぜか丹波哲郎が出てきて暴れるのが、意味がわからなさ過ぎて笑えてくる。ちょっと地獄を秩序的に描き過ぎた事が気になったのか。

 

 

 しかし、閻魔大王が世の乱れを気にしているなんて、善い人だ。酷い世の中を何とかしようと彼女?なりに考えた結果が「地獄」というシステム、というのは、理想を掲げて推し進めた結果生まれた、独裁国家やブラック企業みたいで地獄味がある。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 石井輝男

 

製作総指揮 小林悟

 

出演 佐藤美樹/前田通子/薩摩剣八郎/北村有起哉 

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音楽 竹村次郎 

 

地獄

地獄

  • メディア: Prime Video
 

地獄 (1999年の映画) - Wikipedia

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