★★★☆☆
あらすじ
平治の乱の際に出会った女に好意を持った男は、女が既婚であることを知るが、それでも強引に結ばれようとする。カンヌ国際映画祭グランプリ作品。
感想
男が女に好意を持つのは理解できる。だが、既に結婚しているから諦めろと言われても頑なに諦めないのは往生際が悪い。女も好意をもっているわけでなく、普通に迷惑に思っている。さらに男は女やその身内を脅したり、その夫を殺害しようとしたりしている。現代なら普通に事件の案件だ。
思い通りにならないと我慢ができない、まるで駄々をこねる子供のような主人公だが、あることがきっかけでようやく自分の愚かさに気づく。だが気づくのが遅すぎる。もっと言えば、もしそれがなかったらそのまま幸せに暮らしていたのかと。どちらにしても自分勝手な男だという結論になってしまう。
そんな我儘な主人公とは対照的な、女の夫の大人な対応が心を打つ。決して優位な立場を利用して主人公を罵倒したり侮辱したりせず、常に対等に接し、事件の後も理性的に振る舞った。
物語としては悲劇的なストーカー事件といったところだが、艶やかな衣装や小道具のカラー映像が素晴らしい。華やかな映像に見入ってしまった。長谷川一夫も京マチ子もふくよかな顔立ちで、それも平安時代ぽかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 衣笠貞之助
原作 袈裟の良人
出演 長谷川一夫/京マチ子/殿山泰司
音楽 芥川也寸志