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「ゼロの未来」 2013

ゼロの未来(字幕版)

★☆☆☆☆

 

あらすじ

 近未来。人生の意味を教えてくれる電話を待ち受ける男は、連絡を受け損ねるのを恐れて、会社に在宅勤務を希望する。

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 テリー・ギリアム監督、クリストフ・ヴァルツ主演。原題は「The Zero Theorem」。イギリス映画。106分。

 

感想

 怪しげな主人公、怪しげな住居、そして怪しげな仕事と、冒頭から謎めいた描写が立て続けに続く。監督のテリー・ギリアムらしい独自の世界観は素晴らしいが、その謎めいた世界を読み解くための足掛かりとなるような情報を一向に教えてくれないままに、さらに謎めいた描写が重ねられていく展開がしんどい。

 

 最初は頑張ってついていこうと思うのだが、あまりの取っ掛かりのなさに早々にあきらめてしまった。主人公が人生の意味を教えてくれる電話を待っているのは分かったが、主体的には何をしたいのかが分からず、ただ眺めるしかなかった。

 

 それどころか他の登場人物が感じているのと同様に、ひとりよがりで煮え切らない主人公の態度にイラついてしまい、まったく感情移入が出来なかった。物語の世界に没入できず、退屈で何度も睡魔に襲われた。主人公とコールガールのやり取りが多少面白かったくらいだろうか。

 

 

 他人との接触を避け、部屋に閉じこもっていた主人公が、ふとしたきっかけで人と関わるようになり、外の世界にも出るようになった。だが外は外で過剰に情報が飛び交い、資本主義に塗れたロクでもない世界だった、ということなのだろう。

 

 人々を監視するのが神からカメラを介した我々自身になったとか、極度に専門的になったことで本人すらどんな仕事をしているのか分からなくなったとか、意味を求めすぎるあまりに虚無に陥っているとか、物語の中に様々な寓意が込められていることはなんとなく分かる。だが観客を置き去りにして、監督が一人で突っ走っている印象だ。あまりじっくりと考察してみる気になれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作総指揮 テリー・ギリアム

 

脚本 パット・ラッシン

 

出演 クリストフ・ヴァルツ/メラニー・ティエリー/デヴィッド・シューリス/ルーカス・ヘッジズ/マット・デイモン/ティルダ・スウィントン/ピーター・ストーメア/ベン・ウィショー/グウェンドリン・クリスティー/ルパート・フレンド/レイ・クーパー/リリー・コール

 

ゼロの未来(字幕版)

ゼロの未来(字幕版)

  • クリストフ・ヴァルツ
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ゼロの未来 - Wikipedia

 

 

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