★★★☆☆
あらすじ
高慢な金持ちの女と使用人の男が、海で遭難し無人島にたどり着く。
感想
序盤は、金持ち連中のクルーズ旅が描かれるが、女のビッチぶりが凄まじい。使用人を見下しわがまま放題なのは当然として、夫や仲間たちにも自分の意見を大きな声で延々と語り続け、相手を言い負かそうとする。それが結構長い時間続くので、見ているこっちまで段々とイライラとムカムカが溜まってくる。
クルーズ船から使用人と二人でボートに乗り移り、洞窟のある小島に向かう途中で遭難してしまったときでも変わらず女は同じ調子。使用人をののしるだけで自分は何もしない。ボートが無人島にたどり着くまでそれが続き、次第に口ごたえしながらもそれに耐え続ける使用人の男にすら、少しイラっとしてくる。
しかし、無人島についてからはようやく男のターン。女に愛想をつかして決別し、食料は自分の分だけ調達する。一方の女は自力では何もできず、男を頼るしかない。次第にプライドを捨てて、男の言うことを聞くようになり立場は逆転していく。これまでのフラストレーションがあるので、男が女を罵るシーンは心が晴れるよう。
ただ、さすがに力で屈服させるということなので、心が咎める部分がないわけでもないのだが、男対女ではなく庶民対金持ちという、いわば主語の大きい構図に持っていくことで、そんな気まずさを中和しようとしているのは上手い。
そして、ここからラブストーリーになっていくのは、イタリアっぽいなと思ってしまった。無人島でのサバイバルでもなく、二人の主導権争いでもなく、恋愛を描き、いつの間にか甘い愛の島になっていてちょっと面白い。元の生活に戻るよりもこの愛の島生活を続けたいと思えてしまうのがすごい。
大体この辺りで話の筋が見えてきてしまって、ここから先はたっぷり描き過ぎで長いなと思ってしまったのだが、この部分がたまらない、と思う人も多いのだろう。ビターな結末も含めてハーレクイン小説っぽくて、意外と女性が気に入るのかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 リナ・ウェルトミューラー
出演 ジャンカルロ・ジャンニーニ/マリアンジェラ・メラート
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