★★★☆☆
あらすじ
悪戯をしてはいつもおばさんに怒られてばかりいるトム・ソーヤ―の物語。
感想
最初のペンキ塗りの話はなかなか皮肉が効いていて面白い。こんな調子でいくつかの話が展開されていくのかと思ったら、家出したり、殺人事件に遭遇したり、洞窟で遭難したりと、割とヘビーな内容になっている。逆に子供に読ませていいのかと心配になる。特に二回も死んだことにされるのはやりすぎかも。
しかし悪い事ばかりするトム・ソーヤは、海賊だの盗賊に憧れたり、ロビン・フッドごっこをしたりするいかにも少年といった感じで、窮地に陥れば今までの悪事で罰が当たったと思ってしまうような、意外と真面目というか、規範を気にする少年だ。彼はきっと大人になっても道を踏み外していないような気がする。真面目な会社員でもないだろうが。
ペンキ塗りの話もそうだが、権力者に媚を売る大人たちや、論理的な思考ではなく感情に流されて怒ったり喜んだりする大人たち、美談を作り上げて勝手に酔いしれる人々など、随所に冷ややかな著者の視線が感じられる。こういう事を敏感に感じている子供たちも、やがてはそんな鈍感な大人になってしまうのだろう。大人になってもこんなことに敏感でいると、なにかと生きにくい。
著者
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*直接作品名は出てこないbookcites.hatenadiary.com