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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「忍びの国」 2017

忍びの国

★★☆☆☆

 

あらすじ

 戦国時代、勢力を拡大する織田勢に隣国まで迫られ、対応を迫られる伊賀の忍者たち。

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感想

 主君に忠義を尽くす武士たちの時代に、なんでも金次第の特殊な集団、忍者たちの姿を描いた物語だ。基本的に皆がヘラヘラしており、金しか目に入らず簡単につられてしまう節操のない感じがよく出ていた。特に築城の雇われ仕事で、小うるさい役人を無言で吹き矢で倒してしまうシーンは面白かった。この人たちの感覚は普通ではないなと実感させてくれる。

 

 主人公は高い能力を持った忍者だが、他の忍びと同様、ヘラヘラして金次第で動く。他と違うのは、なかなか結婚してくれない恋人がいることだ。頭の上がらない彼女の機嫌を損ねないように動いていたら、いつの間にか仲間に欺瞞を感じて反発を覚え、正義感に目覚めるようになる。

 

 

 その話の流れは分かるのだが、あまり説得力はなかった。主人公は織田勢の城に単身で乗り込んだり、合戦を先導したりするが、別にリーダーでもない彼がなぜわざわざそんなことをするのかと解せなかった。金でしか動かないと言うわりには無償で仲間のために色々と介入している。

 

 それに今まで皆と全く同じ行動原理で動いていたくせに、ちょっと義侠心が芽生えただけで、急に正義面して仲間を責め出すのはいくら何でも身勝手すぎる。そもそも、いつ仲間に怒りを覚えたのかも曖昧だった。

 

 すごい父親を持ってしまった織田信雄の苦悩が妙に冗長に描かれるなどして、中盤はかなり間延びした印象だ。物語に深みをもたらすシーンであることは確かだが匂わせる程度でよく、あんなに長々とやる必要はなかった。物語的には不要だが別の事情で必要だったのかなと、穿った見方をしてしまった。

 

 織田勢との戦いがあっさりとしたもので終わってしまい、クライマックスが主人公と鈴木亮平演じる裏切り者の忍者との直接対決だったことには戸惑いを覚えた。主人公が強いのは分かっていたが敵の実力は一切不明で、まったくこの対決に気分が盛り上がらない。対決を見ているうちに、この人強かったのか、と分かってくる有様で、事前にどこかでそれが分かる描写が欲しかった。

 

 終始ヘラヘラしてメリハリのない主人公にあまり感情移入できず、終盤に突然悲劇のヒーローぶる姿にはかなり興醒めしてしまった。どうせなら最後までヘラヘラして何を考えているのか分からないヤバい奴で通して欲しかった。我々には全く理解できないが彼なりのルールはあるのだろうなと思わせる、アンチヒーローにしたら面白くなったかもしれない。

スタッフ/キャスト

監督

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脚本 和田竜

 

原作

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出演 大野智(嵐)/石原さとみ/鈴木亮平/知念侑李(Hey! Say! JUMP)/マキタスポーツ/平祐奈/満島真之介/でんでん/きたろう/立川談春/伊勢谷友介/上田耕一/芦川誠/オラキオ/坂田聡/(声)山﨑努

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忍びの国

忍びの国

  • 大野智
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忍びの国 - Wikipedia

 

 

登場する人物

織田信雄/百地三太夫/北畠具教

 

 

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