★★★☆☆
あらすじ
飄然としたいと風光明媚な温泉地に移り住んだ男。
感想
飄然と、超然とするために、修行のような心持ちで男は出かけていく。そうは言いながらも、何かを見つけては過剰な妄想を膨らまし、誰かを見ては勝手に想像し、心の中は乱れに乱れている。そして、思い出したように超然、超然と気を取り直す。あちこちに焦点が乱れて思考も感情もあちこちを彷徨っているが、突然、乱れていた焦点が一気に一点に集中し、クリアな視界が広がる。
帰ってきた男は成長したような、でももしかしたら何も変わってないような面持ちで、再び出かけていく。
ほとんど会話もなく、男の心情を語って物語は進行していくので、若干辛かった。わずか数日の出来事をこれだけの文量で埋められるのはすごい。ここまで極端ではないが、日々の暮らしの頭の中を文章にすればこんな感じになるのだろう。
著者
登場する作品
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