★★★★☆
感想
管理と規制の刑務所の中で、心は自由であろうとするポール・ニューマン演じる主人公。そんな彼の姿が周りの囚人たちを惹きつけていく。
でも自ら望んでいたかのように刑務所に入ったのは、どうなのだろう。戦争で英雄にはなったが、後ろめたさがあったからなのか。
ポール・ニューマンが刑務所の中でその存在感を増していく過程がいい。カードゲームだったり、ゆで卵50個食べたり、遊びのように労働したり。しかし、この刑務所は楽しそうだ。早起きして働いて、仕事が終わればみんなとカードゲームして、暗くなれば眠る。休日もある。小さなコミュニティの集団生活みたいだ。ニートのためにこんな施設を作ればいいのに。
前半は暴力も脱獄も無く、何でこんなタイトルなのだろうと思っていたら、後半からタイトルのようになった。2回目の脱獄の後、体制に屈してしまった主人公。これで終わりか、後味悪いなーなんて思っていたら、ちゃんと3回目があって良かった。しかも一番痛快な脱獄。
そして、ポール・ニューマンとともに存在感を放っていたのがジョージ・ケネディだ。囚人のボス的立場でみんなをまとめる頼もしい奴だったが、違う世界に出た途端、なんとも情けない奴になる。こういう奴は世の中にたくさんいるよなと、いろんな人の顔を思い浮かべてしまった。
自由を扱ったこの頃の他の映画たちと同じように、ハッピーエンドではないが最後まで体制に負けず自由を失わなかった印象があって、ある種の清清しさがある。しかし自由がいかに尊いものかというのは、刑務所のような不自由な環境で思い知るものなのだな、と改めて痛感した。
スタッフ/キャスト
監督 スチュアート・ローゼンバーグ
脚本 ドン・ピアース/フランク・ピアソン
原作 クール・ハンド・ルーク
出演
ジョージ・ケネディ/モーガン・ウッドワード/J・D・キャノン/ルー・アントニオ/ストローザー・マーティン/ジョー・ヴァン・フリート/クリフトン・ジェームズ/ハリー・ディーン・スタントン/ルーク・アスキュー/デニス・ホッパー
音楽 ラロ・シフリン
編集 サム・オスティーン