★★★☆☆
あらすじ
南極の地下に巨大な神殿があることが発見され、大富豪によって各国から集められた専門家チームが調査に向かう。
「エイリアン」シリーズと「プレデター」シリーズのクロスオーバー作品。シリーズ第1作。101分。
感想
映画界の有名クリーチャー、エイリアンとプレデターの対決が描かれる物語だ。もったいぶることなく早い段階でさらっとプレデターが登場して拍子抜けしたが、みなさんご存じのキャラで今更引っ張ることもないと判断したのかもしれない。
この調子だとすぐにエイリアンとの対決も始まるかと思ったのだが、その後は主人公ら調査隊が遺跡を探検する様子が描かれていく。ここを引っ張ることにしたようだが、特に面白みがなく、間延びしただけの時間になってしまった。
調査隊に特別な目的がないのが良くないのだろう。伝説のお宝を探すでも、発見のきっかけとなった熱反応の正体を突き止めるでもなく、ただ遺跡内を彷徨っているだけだ。実際の遺跡調査なんてそんなものなのだろうが、何か動機づけがないとドキドキしない。こんな所になんでこんなものが?でも良かったと思うが、それは最初に説明してしまっていた。
そしてエイリアンも現れ、両者が人間を襲いつつ互いの距離を詰めていく。エイリアンの初登場時はテンションが上がったが、その後は照明が悪いのか、両クリーチャーともどこか映像に白々しさがあって迫力に欠けた。特にプレデターはまるで昔の特撮に登場する怪人みたいでかなり残念だった。この10年以上前に作られた元作品の時の方がもっと怖さがあったような気さえする。
中盤で示されるプレデターとエイリアンが戦う理由は、なるほどと納得できるものだった。だが、なんでわざわざそんなことするの?と思ってしまうようなものでもあり、相変わらずプレデターのすることは不可解だ。
主人公らは両クリーチャーの戦いに巻き込まれただけで邪魔しているようなものだったが、よく考えると両クリーチャーだけの戦いだったら全く感情移入できそうもないのでこれが正解なのだろう。まだ関心を持ってみることができる。
ただ、主人公がプレデターと共謀する展開には萎えてしまうところがあった。これまでの作品で意味なく人間を襲っていたのは何だったの?と思わなくもない。だがプレデターは、強い者にはちゃんと敬意を払うことが以前の作品で示されているので、味方にするならエイリアンよりも断然プレデターになるのだろう。確かにエイリアンとは気持ちが通じ合う気はしない。
両シリーズでおなじみのシーンがいくつも再現され、そうそう、そんなのあった、と頷きながら見られる作品だ。戦闘シーンもそれなりに迫力がある。だが、これまで両クリーチャーに想像していたよりもかなりスケールの小さな世界観であることが提示されてしまい、がっかりしてしまう映画でもある。特にプレデターとエイリアンの関係性はそんな感じなのかとかなり冷めた。
それからラストは「エイリアン」シリーズでおなじみの、まだ完全に危機は去っていないことを示唆するものだったが、それがプレデターに対するものだったので、知らんがな、と苦笑してしまった。それを見てゾクゾクするのはプレデターだけだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案 ポール・W・S・アンダーソン
原案 ダン・オバノン/ロナルド・シャセット
製作 ジョン・デイヴィス/ゴードン・キャロル/デヴィッド・ガイラー/ウォルター・ヒル
出演 サナ・レイサン/ラウル・ボヴァ/ランス・ヘンリクセン/ユエン・ブレムナー/コリン・サーモン/トミー・フラナガン/カーステン・ノルガード
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