★★★★☆
あらすじ
天才的犯罪者の手口を真似て列車強盗を目論むも、その天才的犯罪者も同じ犯行計画を立てていたことが分かり、慌ててしまう泥棒の男。100分。
感想
序盤はドタバタ気味のベタなコメディが続く。どことなくジャッキー・チェンやマイケル・ホイが活躍していた70~80年代の香港映画のコメディと雰囲気が似ている。香港映画のコメディは、いかにもアジアン・ローカルなベタな笑いのセンスだと思っていたのだが、実は由緒正しい映画の伝統を受け継いだものだったのだなと気づかされた。ジャッキー・チェン映画が、ジャン=ポール・ベルモンドの映画に影響を受けていると言われるのも納得だ。
ただこの映画はベタながらも、フランスの映画だからか、どこか洒落ている。冒頭のヒッピー的なファッションはあか抜けていたし、脱獄の際のトンネル掘りのシーンはセンスの良さが感じられた。それから途中でなぜか挿入されるアニメも無駄にクオリティが高く、それを使ったギャグも粋だった。
中盤を過ぎた頃、いよいよ列車強盗が実行される。古い映画なので合成技術などには時代を感じさせられるものがあったが、一連のシーンは緊張感があり、アクションシーンにもワクワクさせられる。泥棒同士が犯行現場でかち合うプロットも面白い。わちゃわちゃと混乱する中で笑いも生まれている。
なんだかんだで色々あるのだが、最終的にはすべてが水の泡と帰す漫画的な結末が待っていた。この無常感が漂う結末は、フランス映画でよく見るような気がする。アニメのルパン三世的でもある。
そして、いまいちなぜ登場したのかがよく分からない自由の女神像のレプリカだが、やたらと存在感があるのが印象的だった。あのでかい女神像が映っているだけでとても映画的になる。異物感は映画的な効果を生むのだろう。妙に見入ってしまった。
笑いあり、アクションありの娯楽作品だ。確かに今の映画と比べると見劣りする部分はあるのだが、それを忘れてしまうくらいに純粋に楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジェラール・ウーリー
出演
デビッド・ニーブン/イーライ・ウォラック/ブールヴィル