★★★☆☆
あらすじ
五・一五事件から二・二六事件に至るある軍人の物語。
感想
高倉健演じる男が、なぜ吉永小百合演じる女に固執したのかがよく分からなかった。自分の部下が姉である彼女のために死ぬこととなり、その死んだ部下のためだったのか。でも、彼女を助けるために自分の妻にしといて何もしないのは、さすがに酷すぎる。いくら不器用でもそれは駄目だろう。そんな気がないなら、自分の妹とか身内の扱いにするべきだ。そうしないと彼女はずっと何もできず、ある意味で生き地獄だ。
実直な軍人が軍や政治家の腐敗に憤り、二・二六事件を起こすまでの道程が描かれる。その腐敗ぶりがあまり描かれていないので、見ている側としては彼に共感できないところがある。その方法にも疑問が残ってしまう。結局、武力で何かを成そうとすると、多くの人に同意を得られない。
そして天皇制の不思議さも感じる。みな自分が天皇という国家の最高権力者になろうとするのではなく、天皇のためと思い、行動をする。つまり天皇イコール日本なのか。もはや天皇は当然いるもので、なくなるものだとは考えていない。だから天皇が彼らを否定したとき、彼らはあっさりと降伏してしまう。国家に否定されたとして。
スタッフ/キャスト
監督 森谷司郎
出演
吉永小百合/米倉斉加年/桜田淳子/永島敏行/志村喬/田村高廣/佐藤慶/田中邦衛/左とん平/小池朝雄/川津祐介/にしきのあきら/久米明/小林稔侍/浜田晃/阿藤海/納谷悟朗/
音楽 三枝成章