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「北の桜守」 2018

北の桜守

★★★☆☆ 

 

あらすじ

 終戦間際に樺太から引き揚げ、北海道で生きた女。吉永小百合主演、北の3部作の第3作目。

 

感想

 冒頭の吉永小百合と阿部寛が夫婦であるという設定にいきなり困惑させられた。まさかこのまま続けるのかと恐ろしい気分になったが、もちろんそんなわけはなく、数十年後の吉永小百合が年相応になる時代に飛んで一安心した。不安になるので、まずこっちのメインの時代の彼女を見せてから、過去に戻って欲しかった。いきなり軽く恐怖を感じてしまった。

 

 その冒頭の引揚げ時とその後の主人公たちを比べると、色々と違和感のある箇所があり、その間に何があったのかを過去を振り返りながら明らかにしていくプロットだ。そこから吉永小百合演じる主人公の人生が浮かび上がってくる仕組みになっている。

 

 

 だが、主人公の過去の肝心な部分はほとんど描かれず、すべてセリフで何となく匂わせるだけで済ませてしまっている。せっかく良い役者を揃えているのだから、雰囲気だけの過去映像ではなくて、じっくりと描いて欲しかった。観客の想像力に委ねるという事なのかもしれないが、たっぷり時間を使う割には中身がスカスカな印象になってしまっている。予算なかったの?と訝しんでしまった。

 

 そしてこれは、そんな主人公とその苦労を知る息子の物語でもあるのだが、二人の関係もなんだか良く分からない。辺鄙な場所にいても未来などないのだからと心を鬼にして息子を追い出したのは分かるのだが、その後ほぼ交渉を絶ったのは理解できない。

 

 息子も日本に戻ってきたらすぐに会いに行けばいいのに、縁遠くなって会いに行きづらいとか言って会いに行かない。心に距離が出来てもはや他人みたいに感じてしまっているのかと思っていたら、再会した途端に今度は仕事も放りだしてお母さんベッタリになる。それなら変なクッションは置かずに、息子は帰国後すぐに母親の元へ飛んでいって欲しかった。

 

 主人公の過去がすべて”におわせ”ばかりなのは、きっと最後にとんでもない秘密が明かされるからだろうと思っていたのだが、結局特に何事もなく、そのまま終わってしまった。なんだかスカされてばかりの映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 滝田洋二郎

 

脚本 那須真知子

 

出演 吉永小百合/堺雅人/篠原涼子/岸部一徳/高島礼子/永島敏行/笑福亭鶴瓶/中村雅俊/安田顕/野間口徹/毎熊克哉/土屋慶太/阪本颯希/菅原大吉/螢雪次朗/大出俊/阿部寛

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音楽 小椋佳/星勝/海田庄吾

 

北の桜守

北の桜守

  • 吉永小百合
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