★☆☆☆☆
あらすじ
精神病院を脱走した元ボクサーの男は、バーで出会った女らが企てる誘拐事件に巻き込まれていく。
原題は「After Dark My Sweet」。114分。
感想
精神病院を抜け出した元ボクサーが、バーで出会った女に拾われたことから誘拐事件に巻き込まれていく。
まず、バーでは主人公を冷たくあしらっていた女が、なぜ彼を家に連れて帰ったのかがよく分からなかった。頭の弱そうな主人公を利用できそうだと思ったからだろうか。孤独に暮らす彼女の寂しさを紛らわしてくれると期待していたのかもしれない。
彼が現れたことにより、女と叔父の間で長年練られていた誘拐計画が実行されることになる。この計画は、ままならない日々を送る二人の、人生にハリを与える架空の話でしかなかったのに、実行に必要な条件が揃ってしまった。事件に巻き込まれたのは主人公だけでなく、ある意味で彼らも同様だったのかもしれない。
だがこの誘拐計画に主人公が加わった過程もよく分からなかった。首謀者である叔父とは一度会話を交わしただけで誘拐の話なんか一切していなかったのに、次のシーンでは誘拐をすることになっていて、その説明を受けている。いつの間にそんな重大を決心したのかと驚いてしまった。もしかしたら字幕に問題があり、実はそんな話をしていたのかもしれないが、確認する気にはならなかった。
そして誘拐計画は実行される。だがその進捗具合が詳しく説明されることはない。また、主人公が仲間を疑うようになるのだが、それも相手の何に対してどんな疑いを持っているのか、うまく伝わって来なかった。それから病気のせいなのか不安定だった主人公が、犯行が始まった途端に切れ者のようにしっかりとした雰囲気を出し始めたのも解せない。
最初から最後まで分からなことだらけで、何に注目をすればいいのか、勘所がつかめないままに終わってしまう。引っ掛かるところが何もない。原作小説からそのまま引用したような冗長なモノローグも鬱陶しかった。見終わった後、自分はいったい何を見させられたのだ?と首を捻ってしまう映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 ジェームズ・フォーリー
原作 After Dark, My Sweet (CRIME MASTERWORKS Book 37) (English Edition)
出演 ジェイソン・パトリック/レイチェル・ウォード/ブルース・ダーン/ジョージ・ディッカーソン/ジェームズ・コットン/ロッキー・ジョルダーニ