★★★★☆
あらすじ
女しかいない島の王女が、偶然迷い込んで来た男性兵士と共に人間世界に向かう。
「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズ第4作目。 141分。
感想
スーパーヒーローものだが、悪者軍団をこしらえて戦わせるみたいな世界観を構築せず、形式としては単純な戦争映画の設定にしているのが上手い。独自の世界観を説明するのは手間だし、悪者を作るのも意外と難しい。設定がしっかりしていないと、そんなに悪い奴だろうか?とか、なんでそんなことするの?とか、悪い奴かもしれないけどうちらに関係なくない?とか、いろいろ難癖をつけられてしまう。そして物語を陳腐なものにしてしまう。
その点、この映画ではスーパーヒーローがドイツ軍の大量破壊兵器の使用を阻止しようとする単純明快で分かりやすく、なおかつ納得できるストーリーとなっている。すんなりと物語に入っていける。
そして、女ばかりの島で育った主人公が男性を初めて見て興味津々だったり、初めて人間世界を訪れて受けるカルチャーギャップだったりで、コミカルなシーンが多くて面白い。それも彼女が戸惑ってオロオロしたり恥をかいたりするのを笑うのではなく、理解できないといった様子で平然な顔してツッコミを入れていくのを楽しむ感じだ。ちゃんとヒーローとしての体面を保っているし、女だからと特別な描写をしないのもいい。
主人公であるワンダーウーマンは、人間ではなく神の一種ということのようだが、彼女がどれくらい強いのか、いまいち判断できないのがモヤっとする部分ではある。島の仲間たちは銃で撃たれて死んでしまうくらいだから滅茶苦茶強いわけではないのかなと思わなくはないが、でも彼女だけは特別のパワーを秘めているようなので参考にはならず、結局よく分からない。でも弾丸は腕でいちいち受け止めているので、一斉射撃されたら受け止めきれないからやられちゃうのかなとか、いろいろと考えてしまって集中できなかった。
ドイツ軍の本拠に潜入し、敵の作戦を阻止するという一連の物語は面白かったのだが、スーパーヒーローものならではの、ヴィラン(悪役)との対決となるクライマックス自体は割と普通だった。正義だ悪だとか、人間は愚かな生き物だとか、そこで交わされている会話もありがちなものでしかない。でもこれをやらないとスーパーヒーロー映画じゃないから仕方がないのかもしれない。せめて「水戸黄門」のように、最後はどうなるか分かっているのにそれでも楽しめちゃう、みたいな何か演出があると良かった。
スタッフ/キャスト
監督 パティ・ジェンキンス
原案/製作 ザック・スナイダー
原作 Wonder Woman: Gods and Mortals
出演 ガル・ガドット/クリス・パイン/ロビン・ライト/ダニー・ヒューストン/デヴィッド・シューリス/コニー・ニールセン/エレナ・アナヤ/ルーシー・デイヴィス/サイード・タグマウイ/ユエン・ブレムナー/アン・ウルフ
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次作
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