★★★★☆
あらすじ
周辺の治安が悪化し、子どもへの影響を危惧する床屋のオーナーは、従業員や常連客には内緒で店舗移転を計画する。
シリーズ第3作目。原題は「Barbershop: The Next Cut」。
感想
ほぼ床屋を舞台に繰り広げられるコメディ映画だ。序盤はまさに「床屋談義」の言葉そのままの、政治や世の中に関するあれこれが面白おかしく議論される。正直なところ、そんなに笑えはしなかったのだが、それでもこうやって地域の人が集まって会話を交わす社交場のような空間にグッとくる。こういう市井レベルの議論は大事だ。
ちなみにこれはシリーズ第三作目で、一作目は見たが二作目は見ていない状態での鑑賞だったが、特に困ることなく見ることが出来た。分からない設定がないわけではなかったが、見ているうちに段々理解できてくる。コメディなので細かいことは気にしなくていい。
中盤以降は、銃による犯罪が多発し、子供たちがギャングに勧誘されるような治安が悪化した地域を何とかしようと、床屋の連中が模索する姿が描かれる。この動きにちゃんと地元住民が反応し、意見を交わし、そして実行に移す様子には胸が熱くなる。地元出身のヒーロー(NBA選手のアンソニー・デイビス)がそれに自然体で協力しているのもいい。ちゃんとコミュニティが機能していて、自分たちの町を自分たちで何とかしようとする人々の地元愛が伝わってくる。
だが彼らの取り組みは失敗してしまう。さらに主人公は、息子たちをめぐって親友と対立し、内緒にしていた店舗移転計画もバレて皆に総スカンを食ってしまう。何もかもが駄目になり、空中分解寸前となるが、ここでベテラン従業員が彼にしたアドバイスが良かった。失敗したからと言って何もかもが駄目だったわけではない、良かった点もあるのだからそこに希望を見るべきだ、との言葉には勇気づけられるものがあった。結局、あきらめないことが肝要なのだ。
立ち直った主人公が、再び仲間と共に歩き始めてエンディングを迎える。ギャングの道に足を踏み入れかけていた息子との関係も改善し、ハートウォーミングな物語に仕上がっている。実は意外と良いことを言っているのに皆から小馬鹿にされ、軽く扱われていた従業員の男がハッピーエンドを手にするのも良かった。
スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮 マルコム・D・リー
製作 ジョージ・ティルマン・ジュニア/ロバート・テイテル
製作/出演 アイス・キューブ
出演 ニッキー・ミナージュ/セドリック・ジ・エンターテイナー/レジーナ・ホール/イヴ/アンソニー・アンダーソン/コモン/タイガ/トロイ・ギャリティ/レジー・ブラウン/アンソニー・デイビス
音楽 スタンリー・クラーク
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