★★★☆☆
あらすじ
捜査するも未解決となっていた、かつての事件を再捜査することになった主人公・金田一耕助。
感想
金田一耕助シリーズを中心としたパロディー映画。当時の流行などをパロディーにしているのだが、正直、今となっては元ネタが分からず、良く分からないものの方が多い。つまりオンタイムで映画を観た人たちが一番楽しめるようになっているという事で、それはそれでいい様な気もする。その後に観る人は、これは当時流行っていたこれをパロディーにしているのかも?などと推察したりして、時代考証的な別の楽しみ方もできる。
三船敏郎が劇中映画に出ていたり、原作者の横溝正史が本人役で出ていたりと、多彩な顔ぶれがちょい役で出演しているのも面白い。そして主人公・金田一耕助の相棒的存在の警部を演じる、先日亡くなった田中邦衛が良い。特に何をするわけでもないのに、何をやっていてもなんか面白い。本当に不思議な存在感の人だった。
映画のオープニングとエンディングはイラストレーター・和田誠によるアニメーション。見ているだけで楽しくなってくるような何とも言えない味がある。そして劇中で使われている音楽も軽快でなかなか良かった。この時代の音楽というのはあまり聴くことがないが、いざ聴いてみると意外とイケているものが多い。なのにSpotifyなどで配信されているものがあまりないのが残念だ。もっと気軽に聴けるようになれば、最近の「シティ・ポップ」みたいに世界的に注目されることがあるかもしれない。
映画は正直、そんなに笑えるという事はなかったのだが、身構えて観るというよりは「やってんな」と思いながら軽い感じで観るのが良さそうだ。これはあれのパロディかな?とか、小道具のポスターはコーラのものっぽいがよく見ると「Enjoy Cocaine」となってるなとか、小さな発見を楽しみながら。
全編ふざけた感じで展開されていたのに、金田一耕助が心の闇を見せて段々と狂気を帯び始めるラストは躁鬱ぽくて割と好き。そんなに浮かれてばかりはいられないだろと釘を刺されているような、現実に戻されるような感じがある。
スタッフ/キャスト
監督/出演
脚本 斎藤耕一/中野顕彰
原作 「金田一耕助の冒険1 (角川文庫)」所収 「瞳の中の女」
製作/出演 角川春樹
出演 古谷一行/田中邦衛/吉田日出子/坂上二郎/熊谷美由紀/江木俊夫/仲谷昇/樹木希林/小野ヤスシ/佐藤蛾次郎/梅津栄/大泉滉/車だん吉/田山力哉/志穂美悦子/笹沢佐保/横溝正史/高木彬光/峰岸徹/岸田森/檀ふみ/岡田茉莉子/夏木勲/三橋達也
撮影/出演 木村大作