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「恋は雨上がりのように」 2018

恋は雨上がりのように

★★★★☆

 

あらすじ

 ケガで陸上部の活動から離れ、ファミレスでバイトをする女子高生は、年の離れた店長に思いを寄せている。

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 小松菜奈、大泉洋、清野菜名ら出演。漫画原作。111分。

 

感想

 ケガで走れなくなった女子高生が、バイト先の中年店長に恋をする。

 

 まず主演の小松菜奈が良い。誰ともつるまず、皆に不機嫌なのかと心配されるほどぶっきらぼうだが、だからといって孤立はせず、ちゃんと周囲とうまくやっている。別に無理して皆とベタベタ仲良くしなくても、こうすれば良好な人間関係を保てるという良い例だ。

 

 

 そんな彼女が年の離れた店長に恋をしている。ちょっと怖そうな彼女にまっすぐな目で好きだと言われてしまったら、適当にあしらうなんてできなくなる。店長が困ってしまうのも当然だ。

 

 大人びた主人公だが、教科書に相合傘を落書きしたり、恋が叶うと噂のキャラをゲットしようと必死にガチャを回したりと、意外と子供っぽいところがあるのが可愛らしい。まだ子供だ。

 

 未成年との年の離れたラブストーリーは、付き合ってしまったら終わり、みたいなところがある。だからこの恋を中心に、実は周辺の物語を描こうとしているのが巧みだ。

 

 主人公の陸上に対する未練や、疎遠になりつつある幼なじみとの友情、また店長のあきらめきれない夢などが展開されていく。ウェットすぎずドライすぎず、程よい熱量で語られる人間ドラマだ。主人公と店長が互いに触発され、自分の心と向き合うようになる。店長が「羅生門」の一節を暗唱するシーンは味わい深い。

 

 後半、バイト先に現れる他校の陸上部員がコテコテの関西弁で、昭和のスポ根漫画にでも出てきそうな、ステレオタイプな押しの強い関西人キャラだったのには思わず笑ってしまった。ここから彼女と主人公の物語になっていってもおかしくなかったが、あくまでもラブストーリーということで、アクセント的にしか登場させなかったのも気が効いている。

 

 互いの交流を経て、二人は本当にやりたかったことに再び取り組み始める。店長に大人げがあり過ぎるし、空っぽの中年でもないことは気になるが、本当に冴えない大人だったら女子高生が興味を持つはずがないので、妥当だろう。

 

 「女子高生と中年男の恋愛」というワードから想像するよりも、格段に爽やかな映画に仕上がっている。主人公のまっすぐさが眩しい。

 

スタッフ/キャスト

監督 永井聡

 

脚本 坂口理子

 

原作 恋は雨上がりのように 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

出演 小松菜奈/大泉洋/清野菜名/磯村勇斗/葉山奨之/松本穂香/山本舞香/濱田マリ/戸次重幸/吉田羊

 

音楽 伊藤ゴロー

 

恋は雨上がりのように - Wikipedia

 

 

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