★★★☆☆
あらすじ
距離を置いていた不良グループの仲間に誘われてパーティに参加した男は、敵対するグループの女性と恋に落ちる。
同名ミュージカル舞台の2度目の映画化作品。156分。
感想
有名なミュージカルの二度目の映画化作品だ。静かな中で散発的に音楽が鳴り始め、やがて登場した人物の動きに合わせて音楽が奏でられていく冒頭のシーンには胸が高鳴った。うろ覚えだった最初の映画化作品の内容を少しずつ思い出してきた。
ロミオとジュリエットを下敷きにした、対立するグループにいる男女の悲恋が描かれる。しかし冷静になってみると、二人が出会ってから悲劇の別れが訪れるまでわずか二日しかない。現実ならまずありえない話だが、ミュージカルならではのダイナミックな展開だ。二人が初めて出会った時の求愛ダンスのようなやり取りは、短いながらも可愛らしいシーンだった。
そこから二人の恋は燃え上がるも、所属するグループ同士の決闘があって、と物語は展開していく。両グループの長い影が近づいていく決闘シーンや、女たちが洗濯物を干すシーンなど印象に残る映像のシーンも多く、聞き覚えのある曲にはテンションが上がった。ダンスシーンも楽しい。
ミュージカルとしての出来がいいことは理解できるのだが、ふとした瞬間に、いちいち歌うなよ、と思ってしまう自分がいた。自分がミュージカルが苦手であることを自覚する瞬間だ。ミュージカルは醍醐味である歌とダンスを見せるために一つのシーンが長くなりがちだが、それもしんどく感じてしまう時があった。
また、最初の映画版を見てストーリーをなんとなく知っているものだから、そこに面白みを見出せないのも悪い方に働いてしまった。どうせやるなら現代的要素を取り入れて、などと余計なことばかり考えてしまう。しかしスピルバーグとしてはオリジナルに忠実にやりたかったのだろう。シェイクスピア劇に必ずしも現代的要素を取り入れる必要がないのと同じで、これはこれでいいはずだ。
だが、当時としては斬新だが今となってはクラシックなこの作品の性格が、判断を迷わせる。どこかで斬新なものを求めたくなってしまう。とはいえ、クオリティの高いオーソドックスなミュージカル映画であることは間違いない。ミュージカル好きや最初の映画版を見ていない人なら、きっと素直に楽しめるはずだ。
スタッフ/キャスト
監督/製作
脚本 トニー・クシュナー
製作総指揮 リタ・モレノ
出演 アンセル・エルゴート/レイチェル・ゼグラー/アリアナ・デボーズ/コリー・ストール/リタ・モレノ/ブライアン・ダーシー・ジェームズ/カイル・アレン/ベン・クック/マディー・ジーグラー
音楽 レナード・バーンスタイン/デヴィッド・ニューマン
ウエスト・サイド・ストーリー (映画) - Wikipedia
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