★★☆☆☆
あらすじ
フロリダのビーチを守るライフガード「ベイウォッチ」のメンバーは、周辺で次々と起きる不審な事件の調査に乗り出す。
人気ドラマ「ベイウォッチ」のリメイク作品。116分。
感想
ライフガードのメンバーたちが、ビーチ周辺で起きる事件の真相を探るアクションコメディだ。コメディ色がかなり強い。元となったドラマシリーズは見たことがないが、オリジナルもこんな感じなのだろうか。
その肝心のコメディだが、これがかなり低調だ。軽薄なギャグが多くて、ふわっとした笑いしか生み出せない。選曲は悪くないが節操なく次々と流れる音楽と相まって、全体的に浮ついた雰囲気となっている。強引に割り込んでくるギャグの連続に、そんなに無理して笑いを取りにいかなくてもいいのに、もっとじっくりと腰を落ち着けてやればいいのにと思ってしまう。
新たなメンバー選考から始まるストーリーも、笑いを優先するために錚々たる応募者の中から、体がぷよぷよのオタクの青年が選ばれた時点ですっと冷めてしまった。別にオタクでもいいが、さすがに体は鍛えられていないと駄目だろう。そういうキャラが欲しいのなら、昔は引き締まっていたのに怠惰な生活で緩んでしまったとか納得できる理由が欲しかった。これではリアリティがなさ過ぎて、真面目に見る気がしなくなる。
その後は周辺で起きる事件の捜査が行われていく。だがこれも新入りの元金メダリストがずっと文句を言っていた「なぜライフガードがそこまでする必要があるのだ?それは警察の仕事ではないか?」という疑問に同調してしまい、釈然としないものがあった。警察が仕事をするのを待っていたらビーチの治安はますます悪くなるという主人公の主張は一理あるが、さすがに踏み込み過ぎだし、やりすぎだ。
事件捜査は取り立てて見るべきところはないままに解決に向かう。途中で、証拠動画を撮ったスマホを犯人に奪われて取り戻すために追うシーンがあったが、そんなのすぐにクラウドに自動でバックアップされているんじゃないの?と不思議な気持ちで眺めてしまった。しかし、世の中が便利になりすぎてドラマが生まれづらくなったなと同情してしまう。昔は待ち合わせだけでもドラマになった。
最初は話の腰を折っているだけに見えたギャグも、意地でもやり続ける様子に呆れ、最終的にはヘラヘラと笑えてくる。だから決してつまらないと言うわけではないのだが、映画としての芯が感じられず、フニャフニャとした印象を受けてしまう。
スタッフ/キャスト
監督 セス・ゴードン
原案 ジェイ・シェリック/デヴィッド・ロン/トーマス・レノン/ロバート・ベン・ガラント
製作 アイヴァン・ライトマン/マイケル・バーク/ダグラス・シュワルツ/グレゴリー・J・ボナン/ボー・フリン
製作総指揮/出演 ドウェイン・ジョンソン
出演 ザック・エフロン/プリヤンカー・チョープラー/アレクサンドラ・ダダリオ/ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世/デビッド・ハッセルホフ/パメラ・アンダーソン
音楽 クリストファー・レナーツ