★★★☆☆
あらすじ
NSA工作員の元上司の手引きで脱獄し、国防長官によるクーデターを阻止するために立ち上がった男。
感想
主人公を演じるのはアイス・キューブ。何でも出来てしまうスーパーな人物という設定なのだが、彼のあまり表情の豊かでない演技のせいであまり魅力的なキャラクターに見えず、この映画の足を引っ張ってしまっている。
ただストーリーもそんなに大したことがなく、目玉のアクションも見どころが乏しくて、全体的に物足りなさが残る映画だ。いまいち映画の方向性もよく分からなかったのだが、それはシリーズが007シリーズを意識して始まったというのを知って、だいぶ腑に落ちた。ジェームズ・ボンドのような上品なヒーローはもう古いと、新たなヒーロー像を提示しようとして作られたらしい。
だから前作の主人公は確かXスポーツの名手で、今作の主人公は走り屋とストリート寄りの人物なのだろう。フォーマルでクラシックなジェームズ・ボンドとは対照的なカジュアルな人物たちだ。それを知っていれば映画の中のタキシードのくだりだったり、戦車が出てくるシーンも、007との対比でニヤリとすることが出来たはずだ。そうやって改めて振り返ってみると、ストーリーも007的だった。
平和を目指す大統領に反発し、クーデターを目論んだ軍人を倒すストーリー。軍人はすぐに力を過信して、何かと理由を見つけてきてはやたらと戦いたがる、というのはどこの国でも見られる現象だ。これまで絶え間なく争いを繰り返してきた人類の中には、その習性が身に沁みついてしまい、100年ほど平和が続くとなんだか落ち着かない気分になって戦争を始めたくなってしまう者が一定数いるのかもしれないな、と思ったりした。
ヒップホップをメインに使ったサウンドトラックも良かったし、白人中心社会に対する皮肉の効いたジョークがあったり、ラッパーの2パックのリリックを引用したりと、ブラック・カルチャーを題材にした演出は個人的には好きだったが、日本では特に伝わりづらかったかもしれない。2パックは日本人には分からないだろうと、字幕では「ラッパー」に変えられてしまって名前すら出てこない。
スタッフ/キャスト
監督 リー・タマホリ
脚本 サイモン・キンバーグ
製作総指揮 ロブ・コーエン/デレク・ドーチー/トッド・ガーナー
出演 アイス・キューブ/ウィレム・デフォー/スコット・スピードマン/ピーター・ストラウス/ノーナ・ゲイ/イグジビット
音楽 マルコ・ベルトラミ
トリプルX ネクスト・レベル | 映画 | 無料動画GYAO!
関連する作品
前作
次作