★★★★☆
あらすじ
痛みを感じないよう改造された部隊の一員だった元軍人の男は、元同僚たちのたくらみを阻止するために戦うようになる。香港映画。
感想
映画の雰囲気や小気味よい編集、こだわりの感じられる構図など、香港映画が良かった最後の時代の面影が感じられる映画だ。映画に対する美学があり、ストーリーの粗さはあっても、見ごたえのあるエンタメ作品となっている。
またヒーロー映画としても悪くない。殺人兵器として改造された暗い過去を持ちながら、今は無害で善良な市民として図書館で働く主人公が、仲間の暴走を止めるために立ち上がる。大人の視聴にも耐えられる深みのある設定で、なんならこの当時に作られていたハリウッドのアメコミ映画よりもレベルが高いかもしれない。
変身シーンにもっと力を入れたり、敵役のキャラをもっとヴィランぽいものにしたりして、もっとヒーロー映画感を前面に押し出しても良かったかも、と思ってしまうほどだ。ヒーロー「ブラック・マスク」の出で立ちが、目元を隠すだけの簡単なもので、これももうちょっとカッコ良くしてもいいのにと思うのだが、スパイダーマンのように完全に顔を覆ってしまうと実際問題として苦しそうなので、結局これが現実的なのだろう。バットマンもこの方式だし、口元を覆うのはコロナよりも恐ろしい熱中症になる危険もあるらしいし。
アクションシーンも、演じるのがジェット・リーなだけに当然キレがあり、しかもテンポよくカッコ良く見せてくれるので迫力がある。ヒロイン役のカレン・モクにまで、かなり激しいアクションを求めるあたりは香港映画らしくて、思わず笑ってしまったが。
欲を言えば主人公には最後までヒーローとして、マスクマンを貫き通してもらいたかった。だが考えてみればジェット・リー自体がヒーローだから仕方がないか。トム・クルーズがヒーローに変身する必要がないのと同じだ。
スタッフ/キャスト
監督 ダニエル・リー
脚本/製作 ツイ・ハーク
出演 ジェット・リー/ラウ・チンワン/カレン・モク/フランソワーズ・イップ/パトリック・ラン/アンソニー・ウォン/モーゼス・チャン/ション・シンシン
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