内容
アカデミー賞作品賞。
感想
女性がロッキーを演じるボクシング映画のつもりで観ていたら、見事に裏切られた。
ボクシングに夢中になるヒラリー・スワンク、年老いた慎重すぎるトレーナーのクリント・イーストウッド、そしてそれを見守るモーガン・フリーマン、とキャラクター設定はうまく出来ていて、確かに女性ボクサーの成功物語として十分楽しめた。
だがロッキーだったら感動のラストシーンとなったはずの場面で、話の展開は一気に変わってしまう。
しかし、主人公の家族のような人間達を生み出してしまうアメリカ社会は恐ろしい。実際ああいう人達がアメリカでどの程度いるのかはわからないが、そんな人達を生み出してしまう社会制度が悲しい。日本はアメリカの制度がこうなっているからと言って後を追う傾向があるが、ああなったらやばい。もうすでにそうなりかけているという感じもあるが。
毎週のように教会に通うくせに牧師に議論を吹っかけていたトレーナーが、ひとり教会で祈る姿に心を打たれた。そして、主人公とトレーナーを見守るモーガン・フリーマンの静かな演技も印象に残った。
宗教的倫理観に苦しみながらもそれでも最後にトレーナーがとった行動は、誰にも正しいとか間違ってるとか言えないものだ。日本だったら多分、この宗教的倫理観との葛藤もなくこの行動を取れる人が大勢だと思うが、西欧の人達にとってはかなり困難なものなのだろう。そう考えると宗教というものは相当厄介だ。
スタッフ/キャスト
監督/出演/音楽
脚本/製作 ポール・ハギス
製作総指揮 ロバート・ロレンツ/ゲイリー・ルチェッシ
出演
ヒラリー・スワンク/ジェイ・バルチェル/マイク・コルター/ルシア・ライカ/アンソニー・マッキー/マーゴ・マーティンデイル/リキ・リンドホーム/マイケル・ペーニャ/ベニート・マルティネス