★★★★☆
あらすじ
上司に疎まれ田舎町での捜査を命令された男は、現地で同様の手口で起こる連続殺人事件に直面する。原題は「Sudden Impact」。
感想
序盤はクリント・イーストウッド演じる刑事、ハリー・キャラハンの男らしさ、強さを強調するようなシーンが続く。人気シリーズなので主人公の活躍をまずは見せておこうという事か。ジョークも交えられて時にコミカルなのだが、字幕ではうまく伝えきれていない気がする。それから犬が登場するのだが、この時代は動物を出すのが流行っていたのだろうか。
それから映画の内容とは全く関係ないのだが、劇中に登場する車がアメ車らしからぬ小ぶりな車が多かったのが気になった。アメリカが日本などの勢いに押されて経済的にあまり元気がなかった時代なので、自信のなさが車のサイズに反映されているのだろうか。もしくは逆で、車が小型化していく時代だったのでこのジャンルでは安くて性能の良かった日本車が優位に立ち、その結果アメ車が売れなくなって経済が落ち込んでしまったという事なのかもしれない。
中盤以降は、犯罪の被害に遭った女が復讐のために加害者たちを一人ずつ殺していく様子と、その捜査をする主人公の様子が並行して描かれていくが、女の復讐がメインになっている印象がある。
ソンドラ・ロック演じるこの女は、主人公の女版のようなキャラクターだ。主人公と正義についての見解で意見も一致しているし、行動も似ている。違うのは事件の被害者という当事者になったかどうかだけだ。順調だった復讐が最後に失敗し、圧倒的に不利な状況に追い込まれたにもかかわらず、それでも不屈の精神で敵に向かっていく姿は主人公顔負けのカッコ良さがあった。
そして敵に捕まり窮地に立つ女の前に、真打ち登場とばかりに颯爽と主人公が現れるクライマックスは、あまりにカッコ良すぎて笑ってしまった。三人の敵は全員が銃を持ちさらには人質もいるというのに、なぜかたった一人の主人公の登場に、腰も抜かさんばかりにビビり散らかしている様子も面白かった。本来ならあり得ない展開に冷めてしまう場面なのだが、これはクリント・イーストウッドだからそりゃそうなるよなと許せてしまう。実績と信頼のスターならではの説得力だ。印籠を出した水戸黄門のようなものだろう。最後はしっかりと見せ場を作って、時代劇ばりに気持ちのよいエンディングを迎えさせてくれた。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演
出演 ソンドラ・ロック/パット・ヒングル/ブラッドフォード・ディルマン/マイケル・V・ガッツォ
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