★★★★☆
対ロシアとの戦争を想定して、冬の八甲田山中への行軍演習が行われる。
かなり壮絶なシチュエーションでの撮影のようで、猛烈な吹雪で役者陣の顔が判別できないほど。こんな雪山に結構な役者陣を集めるとは気合が感じられる。
この映画には日本の組織の間抜けな一面が凝縮されている。組織の中でどう立ち回るかだけにしか興味がない馬鹿な上司。現場をかき回して行き当たりばったりの指示を出す馬鹿な上司。きっとどこにでもいるし、企業の不祥事とかなんて、こんなのばっかりだろう。そもそもなんでこんな馬鹿なやつを出世させるのだろうか。そう考えると、きっとその上の人間も馬鹿だし、さらにその上も馬鹿だしって、きっと現場の人間たちは絶望的な気分になっているのだろう。
どうせなら三國連太郎に最後まで馬鹿な上官役を貫いてほしかった。最後の最後まで間抜けで皆の足を引っ張り、醜く裸の大将を演じて欲しかった。その方が逆に清々しかった。最後に何カッコつけてんだよって言いたくなる。
それから雪国なんてどこも一緒だろ、って思ってたが、同じ雪国の東北でも、それぞれの出身によって雪に対する認識が違うっていうのも意外な感じがした。
監督 森谷司郎
脚本/製作 橋本忍
出演
北大路欣也/三國連太郎/加山雄三/前田吟/藤岡琢也/大滝秀治/東野英心/緒形拳/下条アトム/大竹まこと/小林桂樹/神山繁/森田健作/栗原小巻/加賀まりこ/菅井きん/秋吉久美子/丹古母鬼馬二
音楽 芥川也寸志
撮影 木村大作