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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「g@me.」 2003

g@me.

★★★☆☆

 

あらすじ

 任されていた大きなプロジェクトを中止にされてしまった男は、それを決めたクライアント企業の重役に恨みを抱き、その娘に狂言誘拐を持ちかける。

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感想

 主人公が大企業の重役の娘と手を組み、その親から大金をせしめる物語だ。その発端となったのは、任されていた大きなプロジェクトがその重役の鶴の一声で中止にされたことだった。しかしいくら大きなプロジェクトだったとはいえ、中止を決めた依頼主にそこまでの恨みを持つだろうか。

 

 クライアントは改めて別の企画を立ち上げようとしていたようなので、キャンセル料を踏み倒されたりなどの酷い仕打ちを特にされたわけではない。それなのに怒ってしまう主人公には、それこそ客を何だと思っているのだと言いたくなる。

 

 

 その後に主人公が、中止を決めた重役の家の周りを意味もなくうろうろするのも不気味だった。そして、そこでたまたま知り合った重役の娘と共謀し、狂言誘拐を行なうことになる。重役との交渉や身代金の受け取りの様子はスリリングで面白かったが、主人公はただの会社員のはずなのに、なんでそんなに手口が鮮やかなの?という疑問は心のどこかに常にあった。

 

 それが分かるような描写はほぼ無かったが、天才的でプライドが高い男という設定なのだろう。だが、軽いノリで犯罪に手を出すところも解せず、どちらかというと病的な人間に見える。

 

 計画は見事に成功するが、それには裏の事情があったことが明るみになり、主人公は驚かされる。思わぬ展開で面白かったのだが、ここでも、だとしたら重役は機転が利きすぎだし、なんでそんなに手口が鮮やかなの?となってしまった。これに犯行中に主人公と女の間に芽生えた愛が絡み、その後はもつれた展開となっていく。

 

 細かい機微の描写はないが、二人が恋に落ちるのはなんとなく分かる。しかし、それなら両者とももっと素直に真相を打ち明けるべきだった。そうしていれば二転三転する展開に翻弄されずに済んだはずだが、変なプライドが邪魔をして、互いにゲームを降りることが出来なかったということか。煮え切らない二人にイライラしてしまう。

 

 それでもきれいに話が収束し、いい感じにエンディングを迎えるのかと思ったら、いかにも昭和でウェットな展開が待っていた。20年以上前の昔の映画に言うのもあれだが、今だにそんな風に、自分には幸せになる資格がない、我慢しなければいけないとか言ってるから、誰も幸せでない社会になっちゃうんだよと腹が立ってきた。

 

 大まかなプロットとしては面白かったので、これをたたき台にして細部を詰めていけばいい映画になりそうだ。だからこれが最終の完成形と言われると、色々と残念に感じてしまう。

 

スタッフ/キャスト

監督 井坂聡

 

脚本 尾崎将也/小岩井宏悦

 

原作 ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)


出演 藤木直人/仲間由紀恵/石橋凌/宇崎竜童/IZAM/入江雅人/ガッツ石松/椎名桔平/小日向文世/生瀬勝久/東野圭吾大倉孝二/伊藤さおり/虻川美穂子/福井謙二/藤村さおり

 

g@me.

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  • 藤木直人
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ゲームの名は誘拐 - Wikipedia

 

 

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