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「馬鹿が戦車でやって来る」 1964

馬鹿が戦車(タンク)でやって来る

★★★☆☆

 

あらすじ

 村の人間に馬鹿にされ、逆上して隠し持っていた戦車で暴れる男。

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 「馬鹿シリーズ」第三作目。93分。

 

感想

 聞いただけで可笑しみが感じられる良いタイトルだ。でも冷静に考えると、戦争なんて簡単に言えばこういう事なのかもしれない。どんな戦争も武器を持って気が大きくなった馬鹿がやって来て始まる。

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 ただ戦車は「タンク」より「せんしゃ」と呼んだ方がしっくりくるのだが、当時は「タンク」のほうがなじみ深かったのだろうか。暴れ回る戦車を止めるために穴を掘っていた村人たちが、戦争中を思い出して懐かしい、と言っていたのが印象的だった。

 

 シリーズ第一作はドタバタ過ぎてあまり笑えなかったのが、二作目でいい感じの人情喜劇になっていたので、この三作目も引き続き楽しめる人情喜劇になっているのかと思ったのだが、残念ながらそうではなかった。

 

 

 村一番の貧乏な主人公が皆に馬鹿にされ、溜まっていた怒りが爆発するという切ない物語だ。コミカルなシーンは色々とあるのだが、そんな主人公の気の毒さを吹き飛ばすほどではなく停滞気味だ。前回良かったヒロインの岩下志麻も、今回は中途半端な役どころであまり物語には深く関わってこない。前回同様、主人公に迷惑をかける役柄ではあるが。

 

 ただ、タイトルでネタバレしている戦車で走り回るシーンは爽快感がある。なぜだろう、戦車の細かい事は気にせず進む豪快さが良いのだろうか。この映画に限らず、場違いな場所で戦車が登場して無双するシーンは気持ちが良い。この映画で登場する戦車は小ぶりで可愛らしいが、それも日本らしくて良い。

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 怒った主人公が事情をよく確認しないで戦車で暴れるものだから、無関係な人たちに迷惑をかけまくっているのは、笑えるというよりも引いてしまう気持ちの方が大きかった。貧乏人を馬鹿にして笑ったり、無関係な人を巻き添えにしたりと、昔の笑いはキツい事をしていたのだなと感じた。今も新しい世代の笑いは優しくなったと言われることがあるが、笑いというものは時代と共にどんどんマイルドになっていくものなのかもしれない。

 

 最後は少しファンタジー的というかおとぎ話感があるエンディングかと思ったが、ちゃんと後日談があって安心した。決してハッピーエンドとは言えないが悲しい結末ではなく、主人公はたくましく生きていくのだろうと窺わせてくれる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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原案/音楽 團伊玖磨

出演  ハナ肇/岩下志麻/犬塚弘/小沢昭一/花沢徳衛/飯田蝶子/田武謙三/菅井一郎/松村達雄/穂積隆信/渡辺篤/武智豊子/小桜京子/天草四郎/常田富士男/高橋幸治/東野英治郎/谷啓

 

馬鹿が戦車でやって来る - Wikipedia

 

 

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