★★★★☆
感想
幸徳秋水や大杉栄という名前は聞いたことがあったが、堺利彦という名前は全然聞いたことがなかった。
自分が思うように動けない時代も悲壮感を漂わすことなく、自暴自棄になることもなく、何食わぬ顔で生き延びるのは実は一番難しい事だ。しかも自分の目標は決して忘れたわけではなくずっと持ち続け、さらに仲間に仕事を与え、繋がりを維持している。
幸徳秋水や大杉栄の事件があった時に彼も巻き込まれる可能性があったのに、2回とも刑務所にいて、難を逃れたというのも数奇なものを感じる。逆に巻き込まれていた方が歴史に名を残したのかもしれないが、もしかしたら彼が獄中にいなかったら、そもそも事件が起きなかったかもしれない。
著者
黒岩比佐子
登場する人物
堺利彦